うみのおさなご(内容)

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あの日の夜からリンはあの悪夢を見ることはなくなったらしく、夜中にうなされるようなことはなくなった。
それでもやはりサッチの周りをうろうろすることには変わりないのだが、それ以外は変わりなく、モビーは平和に航海を続けていた。





なんてことはなく、実はここ数日船内にぴりぴりとした空気が漂っていた。
その原因はこの先の島“海賊の酒場”とも呼ばれる所謂海軍の手が届かない、ならずものたちの集まった島にあった。
先日のマルコ隊長の偵察により、どことなく妖しい空気が流れ、海賊たちが集まっているとの報告から、その海賊たちが白ひげを狙っているとの噂が立っていたのだ。
まぁ、もちろん血の気の盛んな船員たちは目を爛々と輝かせながら今か今かと待ち構えているのだが。
16番隊も例にはもれず、隊員たちは武器の手入れや鍛錬に勤しんでいた。




「じゃ、最後にもう一回。敵襲の合図があったら?」


「おじいちゃんのところで、ナースのお姉ちゃんと一緒に終わるまで待ちます!」


「正解。それじゃ戦闘が終わったら?」


「後片付けの邪魔にならないようにお部屋でおにいちゃんがお迎えに来るのを待ちます!」


「よくできました」



もし戦闘が始まった場合、非戦闘員であるリンのことについてイゾウ隊長と話し合った結果、親父様のところが一番安全だろうということで一致した。
それにイゾウ隊長の配慮で私自身、持ち場を後方の船内においてもらうことになった。



「お前の力は認めてるんだ。まぁ、中まで敵が入ることはねぇとは思うからそう気ぃ張ってなくていいとは思うけどな」




なんて笑っていたその時、船内に見張りの隊員の声が響いた。



「敵襲ー!!」



その瞬間、どっと辺りが騒がしくなった。
わらわらと動き出す男たちにのまれないようリンを抱えると急いで船内へと向かった。



「それじゃ、よろしくおねがいします」



「お、おにいちゃん」



周りの空気を感じ取ったのか心配そうな表情のリンに大丈夫だと言って頭を撫で、ナースたちに預けると、持ち場へと急いだ。

親父様の部屋を囲むように数人ごとに配置された船内。
他の16番隊の隊員たちは慣れたものなのか、外で思いっきり暴れたかったと愚痴っていた。



「が、今回は分からねぇぞ。なんせ相手はいくつもの海賊たちが手を組んでいるらしいからな」



船内に駆け込む直前、水平線に浮かんだいくつもの船が見えた。
どうやら相手は本気で白ひげをうつつもりらしい。
船内からも外の激しい戦闘音が聞こえる。
叫び声や大砲の音で入り乱れているそれからは戦況は読み取れない。
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