うみのおさなご(内容)

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それから数日後、モビーは平和な航海の真っ只中。
なのだが、実はひとつの問題に悩まされていた。
それは、




「あ、アッシュ、リン見なかった?」


「あ?またなのか。さっき食堂で見かけたぜ?」


「それが、食堂にいなくて」



仕事を終え、鍛錬を終えた後、リンはたびたびこうやってどこかに一人で行くようになった。
以前ならほとんど私と一緒に行動していたし、離れる時もどこへ行くとちゃんと言っていたのだが、気が付けば姿が見えなくなっているのだ。



「とうとう、リンも親離れなんじゃないのか?」



私が落ち込んでいるように見えたのかアッシュがそう言って励ましてくれるが、別にあの子がどこにいてもこの船の中なら危ないこともないだろうし、私がそこまで詮索することはないのだ。
まぁ、多少は寂しくはあるが、それはリンの成長として喜ぶべきことなのである(あ、なんかばばくさい)



「それなら、いいんだけど・・・」



その言葉に不思議そうな顔をしたアッシュに礼を言い、ある人物の部屋へと足を向けた。




コンコン、



「サッチ隊長、晴です。そちらにリンがお邪魔していませんか?」



向かったのはサッチの部屋。
ここにリンがいるというのは単なる推測ではあるが、中から聞こえてきた声にその推測は確信へと変わっていった。



「失礼します」



許可を得て、中に入ると机に座って何やら書類を書いているらしいサッチと、ベッドの上で本を読んでいるリンがいた。



「すみません、サッチ隊長。お仕事中に」


「いいや、いいんだよ。リンちゃんおりこうさんだからおとなしくできるもんなー」


「うん」



やっぱりおかしい。
以前なら仕事中のサッチにくっついていることなんてリンはしなかっただろうし、何よりさっきのリンの返事がどこかから元気なところがあった気がする。
彼女が何か隠しているのは確かだ。
その証拠にリンは視線を本に移したままこっちを見ようとしない。



「サッチ隊長、よろしければもう少しリンを見ていていただけませんか」



ということで適当に理由をこじつけてしばらくリンはサッチに預けておくことになった。
サッチも二つ返事で了承してくれたのでお礼を言って部屋を後にした。






さて、どうやって時間をつぶそうかと、甲板へ歩いていたら聞こえるのは男たちの歓声や怒鳴り声。



「(久しぶりに暴れてみますか)」



ここんとこ、仕事やリンの修行に追われて自分自身の修行が疎かになっていた(ドクターから安静にと言われていたのもあるが)
久々にこの訛った体をしごきますか。
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