うみのおさなご(内容)
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昼食をとって、落ち着いたところで船長室にあいさつにやってきた私とリン。
「ぐらららら、お前もリンには勝てなかったわけだ」
マルコから話を聞いたらしい白ひげ、もとい親父様がよくやったとリンの頭を乱暴に撫でる。
「お前もこの船に乗るなら立派な海賊になるんだ、自分の気持ちはしっかり口に出さなきゃ伝わんねぇ。分かったな」
「はい!」
「さて、てめぇらのことだが、どうするか意見がある奴ぁいねぇか」
「二人そろって16番隊で預かるよ」
すっと最初に手を挙げたのは16番隊隊長のイゾウだった。
「晴に関しちゃ戦闘力も問題ねぇし、他の隊に比べて非戦闘員が多いうちの隊なら戦闘時だってリンが動きやすいだろう」
なるほど、と辺りから声があがる。
あまり各部隊について詳しくはないが、見習いや雑用係など比較的戦闘力の低い隊員をまとめているのがイゾウ隊長らしい。
すっ
全体がそれでまとまりそうになったとき、小さな手があがった。
「リン?」
彼女の瞳はまっすぐ白ひげに向かっていて、何かを決意したかのように口を結んでいた。
その小さな手はまっすぐ天井に伸びていて、そこからも彼女の意思の強さが見て取れた。
「私、強くなりたいです。おにいちゃんを守れるくらい強くなりたいです」
その声はしんと静まり返った部屋に力強く響き渡った。
強くなりたいと願う彼女に隊長たちも顔を見合わせる。
ただ、白ひげだけはそんな彼女の言葉にふむ、と顔を曇らせる。
「そういやぁ、リンのことについて何も言ってなかったなぁ・・・」
どうやら、私が大将とやりあってたのはただ単に賞金のせいだと思われていたらしい。
(いや、賞金の額から気が付こうよ)
すっと白ひげがこちらに視線をむける。
まぁ、いつかはばれることだし、隠しておくのも忍びない。
白ひげの視線にお任せしますと答えると、白ひげはうなずいた。
「てめぇらに言っておかなきゃならねぇことがある」
「まさか、リサが・・・」
「そうだったのか・・・リンも大変だったんだな・・・」
リンの素性を白ひげから明かされると、その話に最初は信じられないといった表情をしていたが、リンが母親と離れて一人で旅をしていたという辺りから部屋中にずびずびと鼻をすする音があふれた。
ドレッド頭が特徴的なラクヨウにいたっては滝のように涙を流し、ビスタのマントで鼻をかんでいる始末(ビスタ気づいてない)
それからひと騒動あったが、私たちの身柄はとりあえずイゾウ隊長が引き受けたらしい。