うみのおさなご(内容)

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ぱちっ




少しの息苦しさに浮上した意識に目を開けるとそこには木目の天井が広がっていた。
一瞬、状況が呑み込めなかったものの視界に入ってきた金髪の女性の顔を見て意識を失う直前の記憶を取り戻す。




「あら、起きたのね。すぐにドクターを呼んでくるわ」




そう言ってかつかつとハイヒールを鳴らしながら部屋を出て行った彼女。
その姿を追いかけていた視線を再び天井に戻すとその息苦しさの原因が分かった。




私今包帯人間や。




まるでミイラ男のように全身が包帯でぐるぐる巻きになっている。
そんなにひどいけがだったのかと腕をあげてみるも痛みは感じない。
あれ、と思いつつ黄ザルのレーザーで風穴をあけられた脇腹を触るもなんか痛みは感じない。
勇気を出してちょっと力をこめてみるも痛みはまったく感じなかった。




「は?」



これはおかしい。
がばりと上半身をおこし、包帯の上からあちらこちらを触るもまったくいつもと変わりない。




「こらこら、まだ寝てなきゃダメじゃないか」




そこへナースに連れられてドクターがやってきた。




「ドクター、私はどれくらい寝てたんですか?」



「おや、もう話せるのかい。さすが若いのは活きが違うねー、ちょうど3日というところかな」



そう言いながら、頭に巻かれた包帯をとっていくドクターの顔がだんだんとゆがんでいった .




「・・・ミーシャ」



「はい、ドクター」



「私の記憶が正しければ、ここには大きな傷があったはずなんだが」



「・・・私の記憶でも大きな傷がありました」




私の後頭部を眺めながら黙り込んでしまった二人にやっぱりか、と気づかれないようにため息をこぼした。
おそらく彼らの記憶は正しい(だからその若さでボケはないですよドクター)
そう言えばマルコとやりあったときの傷も一日たてば元に戻ってたっけ。
おそらく他の傷も同じように治っているのだろうな。



私の予想通り、折れていたはずの左腕も肋骨も、風穴の泣いていたおなかもきれいに完治していた。




「し、信じられない」




目を丸くするドクターに苦笑いを返すしかない。
まさか一回死んで生き返ったらいろんなオプションのついた体もらっちゃいましたー
なんて言えるはずがないのだし。




「確かに治りが早いとは思っていたが・・・」




とりあえず治ったのだから船長に報告してくる、と残りの診断をナースに任せ、ドクターは出て行った。
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