うみのおさなご(内容)
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そこはグランドラインのとある島。
うっそうと生い茂った森の中を一人の女性が小さな子供の手を引きながら歩いていた。
「この島ももうだめね。さすがに彼にはかなわないわ」
「ママ?」
心配そうに母親を見上げる娘に母親は大丈夫だと微笑む。
「この森を抜けたら海へ出られるわ。事前に船も用意しているし島影に隠れながらなら次の島へ行ける・・・っ!?」
パキッ・・・
突然動かなくなった足にはっと視線を下に向けると、右足が氷に覆われていた。
しかもどんどんその面積は広がっていく。
その氷が娘に届きそうになった瞬間、母親はとっさに娘を突き飛ばした。
「リン!逃げなさい!」
「でもママがぁ!」
「いいから行きなさい!船は使えるわね!必ず!あなたの味方になってくれる人がいるから!・・・ママとの約束、忘れちゃ、だめ・・・よ・・・」
パキパキッ・・・
「ママあああああああ!!」
突然目の前で氷に覆われていく自分の母親。
駆け寄ろうとした少女の耳にパキ・・・パキ・・・と、氷を踏み砕くような音が聞こえた。
あいつだ。
あいつが来た。
捕まっちゃいけない、逃げなくちゃ。
あふれる涙をぬぐい、氷に包まれてしまった母親のほほにキスを落とすとぎゅっと拳を握りしめ振り返ることなく森の奥へと走り出した。