うみのおさなご(内容)
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なんてやってる間にどうやら到着したようだ。
行先は告げられていなかったが、まぁここは船長室が妥当なところだろう。
その予想を裏切ることなく、マルコに連れられて入ったその部屋にはたくさんの美人ナースに囲まれて男が座っていた。
「グララララ・・・お前がリサの娘か」
「は、はひっ」
その声は低く、海を揺るがすように部屋に響いた。
そんな男、白ひげを前にリンは怯えた様子で返事を返す。
「グララララ、そんな固くなるこたねぇさ、娘の娘は家族も同然だからなァ」
そう言って手に持った酒をあおる白ひげをナースたちがやんわりと注意を促すも、白ひげが聞き入れる様子はない。
「リンと言ったな・・・お前の母親はどうした。一緒じゃないのか」
「マ、お母さんは・・・」
と、その時晴の手がその続きを止めた。
そしてちらりと周りを見回すと、白ひげに向かって深々とお辞儀をした。
「そのことについてお話する前に人払いをお願いしたい」
正直、そんな深くまで話すまいと思っていたが、彼の娘という発言で心が変わった。
リンの母親のリサさんのことを娘と呼んだ。
それはつまり彼女がこの船に乗っていたということだ。
だからもし、彼がこの子について何か知っているのならそれを聞かない手はない。
「・・・お前は何者だ」
「成り行きでこの子の身を預かることになったものです。
無礼は承知ですが、何分私もこの子自身もどうしてこんな状況に至ったのかさっぱりわかっていないんです。
もし、貴方が何かをご存じなのだとしたらどうかこの願いを聞き入れてもらえませんでしょうか」
この人がどこまで知っているかは知らないが、「海の子」が海軍に狙われるような存在ならばそうやすやすと名前を広めていいものではないのではないのだろうか。
晴の言葉に白ひげはしばらく彼女に鋭い視線をむけたが、何か納得したようにナースたちに部屋を出ていくように促した。
エースだけは不満顔だったが。
「ただし、マルコはうちの長男だ。マルコは立ち会わせる。いいな」
「ありがとうございます」
4人以外誰もいないことを確認すると晴はリンに続きを促した。
そしてリンはつたない言葉で今までの自分のことを一生懸命話し出した。
途中白ひげがいくつか質問しながら話は進んでいく。