モノクロ世界(内容)

□6、いよいよ原作へ
8ページ/8ページ



菜緒は弓を下ろし、戦闘体制を解く。


神田のほうを見ると、息を荒くしながらアンジェラの方へと向き直る。


「…さすがエクソシスト。でも、私に敵うかしら?」

「煩い」


にやにやと(表情はわからないがおそらくそんな顔)笑うAKUMAの言葉をさえぎるように一言呟き、弓を構えた。






一瞬だけ、目の前が暗くなった。







だが、次に菜緒の目の前に浮かんできたのは懐かしい道場の光景だった。


「…幻…」


アクマの能力だと気づき、慎重にあたりを探る。

確か、その人が一番望んでいることを見せるはずだ。
だから元の世界がでてきたのだろう。


「菜緒」

「っ!!?」


ふと後ろから声を掛けられ、振り向くとそこに立っていたのはリナリーだった。


「菜緒…タスケ、テ…」

「!?」


一歩一歩菜緒に向かって足を動かすリナリー。
その顔は苦痛の表情を浮かべていた。


「(これは…幻なんだ!)」


伸ばしそうになる手を堪えながら、少しずつ後ろへと下がっていく。


―ガクンッ


「っリナ!」


力が抜けたように倒れこんでしまったリナリーに思わず駆け寄りそうになるが、足が一歩も動かない。


「…どうし、て…私たちを、見すてるの…?」

「ぅ、あ…」


顔を上げたリナリーの目があった場所は黒い穴が空いていた。
こみあげてくる吐き気をこらえ、これは幻なんだと懸命に自分に言い聞かせた。


「帰れればそれでいいんだろ…?」

「俺たちは関係ないんだよな…」


いつの間にかリナリーの隣に立っていた神田とラビ。
二人の姿はボロボロで今にも倒れてしまいそうだった。


「「「菜緒」」」


うわぁぁあぁぁぁぁぁ!!


菜緒…


嫌だ…っ


菜緒…


私の名前を呼ぶな…っ


菜緒…


違う…私は…っ




「菜緒!!」
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ