モノクロ世界(内容)
□6、いよいよ原作へ
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菜緒は弓を下ろし、戦闘体制を解く。
神田のほうを見ると、息を荒くしながらアンジェラの方へと向き直る。
「…さすがエクソシスト。でも、私に敵うかしら?」
「煩い」
にやにやと(表情はわからないがおそらくそんな顔)笑うAKUMAの言葉をさえぎるように一言呟き、弓を構えた。
一瞬だけ、目の前が暗くなった。
だが、次に菜緒の目の前に浮かんできたのは懐かしい道場の光景だった。
「…幻…」
アクマの能力だと気づき、慎重にあたりを探る。
確か、その人が一番望んでいることを見せるはずだ。
だから元の世界がでてきたのだろう。
「菜緒」
「っ!!?」
ふと後ろから声を掛けられ、振り向くとそこに立っていたのはリナリーだった。
「菜緒…タスケ、テ…」
「!?」
一歩一歩菜緒に向かって足を動かすリナリー。
その顔は苦痛の表情を浮かべていた。
「(これは…幻なんだ!)」
伸ばしそうになる手を堪えながら、少しずつ後ろへと下がっていく。
―ガクンッ
「っリナ!」
力が抜けたように倒れこんでしまったリナリーに思わず駆け寄りそうになるが、足が一歩も動かない。
「…どうし、て…私たちを、見すてるの…?」
「ぅ、あ…」
顔を上げたリナリーの目があった場所は黒い穴が空いていた。
こみあげてくる吐き気をこらえ、これは幻なんだと懸命に自分に言い聞かせた。
「帰れればそれでいいんだろ…?」
「俺たちは関係ないんだよな…」
いつの間にかリナリーの隣に立っていた神田とラビ。
二人の姿はボロボロで今にも倒れてしまいそうだった。
「「「菜緒」」」
「うわぁぁあぁぁぁぁぁ!!」
菜緒…
嫌だ…っ
菜緒…
私の名前を呼ぶな…っ
菜緒…
違う…私は…っ
「菜緒!!」