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□キョウチクトウ
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「駄目だ」
「何故ですか!」
「外は危ない」
「そ、そんな…」
「お父様!ベータに外の世界を見せてあげて!」
「そうです。お父様、ベータはもう大きくなりました。少しはベータを信用なさってはどうですか」
「…駄目だ」
「…ぅ…ヒック……お父様なんて…お父様なんて嫌いです!!」
「ベータ!」
 ベータは父親の部屋を勢いよく出て、玄関へ向かった。普段向き合う事のない玄関。今日はなんだか出れそうな気がした。
「私だって…反抗期なんです!!」
 ベータはヒールのある靴を履いて、ドレスのまま外へ出た。普段外なんて出ないから靴は一足しかない。
「そ、外!!」
 外はとても晴れていた。木々が生き生きとしていて、小鳥の囀りが聞こえ、色とりどりの風景がベータの目に飛び込んできた。
「やりましたわ!私は…とうとう外に出れたんですわ!!」
 ベータは屋敷のある山からそのままの勢いで駆け下りる。
「いつも運動不足を避けて過酷な運動をしていたのが役に立ちました!!」
 ベータは町へ出た。
「…はぁ、流石にここまで来るのは疲れました……」
 町は活気があって賑わっていた。
「こ、これが町というものですね!」
 ベータは目を輝かせ、町にあるもの一つ一つを見ていた。
「しょ、ショッピングモール!!」
 まずベータの目に飛び込んだのはショッピングモール。部屋の本の中にあったものと同じものだった。
「あの本にはここの町の事が載っていたんですね!」
 ベータは迷う事なくそのショッピングモールに入って行った。
「わぁ…!可愛い洋服がいっぱいですわ…!」
 ショッピングモールが初めてのベータには何もかもが輝いて見えた。
「いい匂い…あれは!ホットケーキ!!」
 スイーツが売っているお店のショーケースを覗いたり、洋服が売っているお店の服を試着したり、ベータはどんどんショッピングモールの楽しさを知っていった。
「はぁ、いつも持ち歩いてる財布に入ってるお金でも足り無そうですわ…」
 いつも持ち歩いてる財布に入っているお金はざっと十万円。本当はもっと貰っているのだが、ベータがすべて金庫に入れてしまうので、いつも持っているのは十万円なのだ。
「何を買いましょうか…」
 ベータが財布を見ながら歩いているといつの間にか知らない所へ来ていた。
「ここ…どこでしょう…」
 上を見ると、煙のマークが描かれた看板があった。
「あ、これはタバコでしょうか…」
 外の世界を知らないベータでも分かった。ここは煙草を吸うところだと…。
「私は吸いませんもの…もと着た道を戻りましょう」
 もと着た道も覚えていないベータはまた違う場所に来てしまった。
「はっ、ここも違いますわ。うーん…ここはどこでしょう……」
 するとベータの後ろから話し声が聞こえてきた。
「あ、誰か来ますわ。来た人に聞いてみましょう」
「はははっ!はぁ…あれ?」
「あれれれ?」
「なーんでこんなところに女の子がいるのかなぁ?」
「あの…ここはどこでしょう?私は着た道を戻りたいのですが…」
 三人組の男はベータを見るなりにやにやしながらベータを嘗め回すように見た。
「あの…?」
「見た所どこかのお嬢さんだなァ?」
「これはこれは可愛いお嬢さんだね」
「どうする?」
「なあ、嬢ちゃん」
「はい?」
「教えてあげてもいいけど、その前に俺らのお願い聞ける?」
「教えてもらえるなら!」
「じゃあ、ここで俺らと遊んでこうよ」
「遊ぶのですか!」
「うん、この男子トイレでね」
「トイ…レ?お手洗いの…事…ですか!?」
「うん、譲ちゃんは今、男子トイレにいんの」
「こ、これは失礼しました!今すぐ出ていきますから!!」
 ベータは急いでトイレから出ようとした。
「ちょっと待ってよ」
 ベータは腕を引っ張られた。
「出ていきますから!安心してください!!」
「安心してくださいっていっても…なァ?」
「うんうん、さっき君、"一緒に遊ぶ"って約束したでしょ?」
「そうだ、譲ちゃんと遊ぶ約束したわ俺ら」
「でも、ここは男子トイレなんじゃ…」
「でも今から俺らの遊び場だから」
「問題無いよね?」
「…どういう…意味でしょう?」
 三人の男はベータに詰め寄る。
「遊んだだけ遊んで売り飛ばすか」
「そりゃいいな」
「うん、これだけ可愛ければうんと稼げるよきっと」
「サンプル動画を今から取るか?」
「そうだな」
「売り飛ばす?さんぷる動画?どういう事ですか?」
「ううん、こっちの話ー」
「じゃあ遊ぶか、譲ちゃん」
「いいんですか?ここはトイレなのでは…?」
「いいのいいの、ここは今から俺とお嬢さんの遊び場だ・か・ら☆」
「早速、脱いでもらおうか」
「ぬ、ぐ?」
「そう、ぬ・ぐ」
「こうやってな」
 二人の男がベータを束縛する。
「な、なんですか!?」
「あのなぁ…この世にはレイプっつぅ遊びがあるわけよ」
「れい…ぷ?」
「そ、だから今からその遊びを譲ちゃんとしよう思ってなァ」
「遊びなのですか!これからどう遊ぶんですか?」
「こうやってまず服を脱ぐ」
 男の一人がベータのドレスの後ろのチャックを開けた。
「脱いでどうするんです?」
「うーん、楽しい事する」
「楽しい事?」
 男はベータのドレスをそのまま脱がそうとする。
「うわっ、この子裸にさせられるのに抵抗しないんだねー」
「もしかしてビッチ?」
「ただ、お嬢様だから世間を知らないだけだろ」
「そういう事〜!こっちにとっては都合がいいね!!」
 ベータは世間の事など知らないので、人前で服を脱ぐ事の恥ずかしさも、裸体を晒す恥ずかしさも知らないのだ。
「わぁ、この子ぺったんこだね!!」
「でもこれは上等な胸だな。きっと高くつくぞ」
「あのー…これで私はどうすれば…」
「そのままでいてくれればいい」
「へ?」
「さぁて、どう食べようか」
「食べる!?私食されるのですか?」
「ううん、これは遊びで食べられるんだよ」
「遊びですか…」
 男がベータの裸体に口を近づけた…その時。
「君達は何をしているのかな?」
「なんだぁ?今この子と俺らは遊んでんだよ」
「二人で女の子の腕をつかんで、一人が女の子の胸に吸い付こうとする遊びなんてあると思うかい?」
「んだてめぇ…」
「さっさとこの場から立ち去ったほうがいいんじゃないかい?」
「うるせぇ!!やんのかてめぇ!!」
「君も、服を着たほうがいい、この男達は君を汚すつもりだったらしい…」
「汚す…?」
「はぁ、その身なりとその顔からすると君はあの山の上にある屋敷のお嬢さんだね」
「わ、私を知っているんですか!?」
「箱入り娘ってわけか…」
「何二人でこそこそ話してんだてめぇら!」
「うるさいなぁ、今僕は彼女と話しているんだ。君達に用は無いよ」
「お前、俺らに潰されるぞ」
「潰される?ちょっと意味が分からないね」
 次の瞬間男からは一気に殺気が満ちた。それは肌で感じられるくらい残酷なものだった。
「!?」
 男らは驚いている。
「お、おい…これって…」
「迅狼…リュカオン!?」
「つ、つまり…ルートエージェント…」
「「「ガンマ!?!?」」」
 ガンマと呼ばれたその男は、三人を冷徹に睨みつけた。
「う゛っ…おい!このままじゃ警察呼ばれるぞ!!」
「残念だったね。もう呼んでるよ」
 ガンマの後ろからは続々と警察が入ってくる。
「確保!!」
「て、てめぇ…ガンマだったか…」
「てめぇ?…口の利き方がなっていないようだね。牢獄の中できっちり教えてもらいなよ」
 三人の男はそのまま連れて行かれた。

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