長編小説

□第2話 『並盛町』
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「とりあえず、片付いたね」


今まであまりやった事のない労働で肌が少しジットリしてる




アノ“夢”に出てくる『ナミモリチョウ』に引越してきた
今は荷物整理をしていて、
まぁあまり余計なモノとかはないし
直ぐに片付く程度だ



とりあえず何か飲み物をと冷蔵庫へと足を向けたその時


――ピンポーン――


インターフォンが狭い空間に響いた




新聞の勧誘か何かと思い
ドアをあける


そこには
中学生くらいの女がにっこりと微笑みながら立っていた



「こんにちは!今日引越して来たんだよね?私はこの並盛町の町長の娘、笹川京子!仲良くしてね」


町長の娘と名乗る“笹川京子”


何故か






その微笑みに




嫌な感じがした…







「……あぁ、僕は雲雀恭弥……」


名前を言うと笹川はパアッっと表情を明るする



何だろう
この胸にチクチクと灼熱の刃が突き刺さってくる感じは




「雲雀さんッあの、恭弥さんって呼んでもいいかしら?」




――ズキ――ン



ヤメロ






ヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロッッッッ!!





駄目だ
この女に自分の名前を呼ばれる事に身体が拒否反応を起こしてる

目の前にいるだけで、嫌なのに
名前を呼ばれると自分さえも汚らわしいと思えてくる



他人を嫌いなのは何時もの事なのに、
こんなに他人を嫌ったのは初めてだった






「あ!ごめんなさい、友達が待ってるの…じゃぁまたね…恭弥さん」






…まだ下の名前を呼ぶ事許可してないんだけど









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