青林檎の恋

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どうして、こうなったのだろう。
私は、ただ、普通に、楽しく、LBXバトルをしていただけだ。
そう、原因はただひとつ。
バトルして勝った相手が悪かった。
仙道ダイキ。ミソラ一中の番長さん。異名は、箱の中の魔術師。

そんな大層なお人は、私が強いという確実なデマ情報をもとに私にバトルをしかけてきた。そんで、私が勝った。
仙道さんは「噂は本当だったみたいだなァ。だが、このオレが負けるとはね…。」と自嘲するような笑みを浮かべ、どこからともなくカードを1枚取りだして、「ふっ…当然さ。おい、四月一日凪、いずれオレはお前にリベンジしてやる。そして、次こそはあんたを完膚なきまでに打ちのめしてやるよ。」とまるで勝利を確信した笑みを見せて去っていった。

そこまではいい。そこまではいいんだ。

割と早く彼のリベンジ戦を行うことになった。

そしてまた、私が勝った。

仙道さんは今度は取りだしたカードを睨み付け、何も言わずに去った。
それからだ。
彼に毎日と言っていいほどLBXバトルを挑まれるようになったのは。
勝つのはいつも私だったが。
仙道さんと毎日のように出くわすようになったので、周りのクラスメイトや友達は、どういうわけか私と仙道さんが仲が良いと判断し遠ざかっていってしまった。
まあ、これもいいか。来る者拒まず、去る者追わず主義の私には、この程度ダメージを受けるほどではない。
問題は、一度彼のジョーカーを誉めたことにある。

その後何故か話が弾み、ついには同じストライダーフレームの使い手同士、ストライダーフレームについての話で盛り上がり、そして、

「さて、今日こそ勝たせてもらうぜ?凪。」

名前で呼びあうほどになっていた。つまりは、お友達になっていた。
誰がこんなこと予想していただろうか。すくなくとも、私は微塵ほども予想していなかった。
そして一番予想していなかったのは、そんな状況になっていても後悔の欠片も持ち合わせぬ自分だった。そして、この状況を好ましく思う自分でもあった。
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