学園アリス
□08
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今日は周りがうるさくて良かった。
こんな所を初校長にでも見られたら終わりだ。
『あんたらのボスに伝えなさい。
“いい加減シツコイ、Zに入るつもりはない”と、ね』
「それだと私の身分が……」
『あたしの知った事じゃない。
……それと、玲生は元気?』
「玲生さんは元気です、が……いつもアナタに会いたいと申しておられます」
『ハァ……ばか。
ホントばかだよ……』
会いたいなら、会いに来てよ……ばか。
『じゃあこれ以上目立つ前に帰りなさい』
男が悔しげに去るのを見届けてからあたしも歩く。
≪なぁ愛美≫
≪何?≫
≪俺さ、もうこんなとこ嫌だ…≫
≪…それは、あたしもだよ≫
≪逃げねぇ?≫
≪今はまだ逃げないよ≫
≪今はって事はいつかは逃げんの?≫
≪……分かってるくせに≫
≪ハハッ、ごめんな≫
≪別に、いい≫
≪好きだ、愛美≫
≪…こんな時に卑怯だよ、玲生≫
≪えー、愛美は好きじゃねぇの?≫
≪……す、好き…だよ、玲生…≫
≪照れたー!可愛い≫
大好きだった、ただあなたの事が。
会いたい、でも会えない。
玲生、あなたの事を忘れるなんて何一つ無理なんだよ。
それか例え下らない話だったとしても。
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