D.Gray-man

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にっこり、いつもの僕の知っている笑顔を浮かべながら何て事無いように言い放ったコムイ。




レイ兄もそれがいつものことなのかただ言われたことに従っている。







『……んで、ど、して……』







ああ、喉がカラカラだ。



声が思うように出てくれない。




だけど、まだ、だ。



まだレイ兄が死んだ原因が分からない。








そして場面は切り替わり、何かの実験室のような場所になる。





何人かが手術をするときのような格好をして、一つのベッドを囲んでいる。



そして、そのベッドに寝かされていたのは









――――レイ兄だった







彼は腕を頭の上に鎖で縛られている。レイ兄が微かに動く度にガチャガチャと鎖特有の音が響く。



それに自身で眉根を寄せている。








「いいか、抵抗はするな」

「……もう、抵抗しても無意味だってことは分かってますよ」

「フッ…あんなに暴れてたヤツがな」

「………さっさとヤって下さい」








そう言うレイ兄の瞳には、何も写っていなかった。


そして、レイ兄と話していた男は他の数人と何かを話してから、何かを取り出した。
















――――それは、何度も見たことのあった

















今も僕の手に持っているモノ
















――――イノセンス

















男達はそれをレイ兄の適合者に無理矢理させようとしている。





時々苦しげに漏れるレイ兄の吐息


















「………終わっ、た…」

「初めて…咎落ちに…ならな、かった…」

「ついに、……ついに…成功…した、のか…?」








科学者たちは嬉しげに笑いあって、その成功を喜び合っている。








――――しかし、それも束の間




レイ兄は突然苦しみだした








「ぐっ……あぁぁあああ゛ぁ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛!!!!!」



「「「「「!!!!!」」」」」







ガチャガチャと金属の音が微かに聞こえてくる。



だがそれさえも掻き消してしまうほどの声に、僕は息が詰まった。







「クソッ…!おい!どうする!?」

「……っ、仕方ない…咎落ちになられたら面倒だ。













殺すしかない」



「――――了解しました」









科学者たちはそう言い合って、一人の男が何かの薬品を取り出した。




そしてそれを、何の惜しみもなく、ましてやレイ兄に謝罪の言葉もなく、半ば押し付けるように、







グイッとそれをレイ兄の口の中に入れた








「〜〜〜ッッ!!…――――、」








レイ兄は、一瞬苦しみを顔で表した後、フッと涙を一筋流しながら微笑んだ。





もう声も出ないのか、だけどある一点を見つめて、口を開いた。















「《セシル…どうか、どうか教団には捕まるな…。









愛してる、ずっと、ずっと…》」









レイ兄は満足げに目を細めてから、手を思い切り動かしてするりと鎖から逃れ、そして近くにあったメスで、






自分の心臓にそれを突き刺した。







レイ兄はその後、数秒も経たずに














静かに息を引き取った




















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