D.Gray-man

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数秒にも満たないその早さに、僕は一瞬呼吸を忘れかけた。








「知ってた?少年、イノセンスって破壊できんだよ。


オレらノアの一族と、千年公はね」





そう言うティキの手には電気みたいなものがあった。






「やめろ………」


『や、だ…アレン……』


「今まで殺して奪ったイノセンスはもう全部、壊してる。


“ハート”だったらお前らの持ってるイノセンスは全部消滅する。

それが当たりの現象ーサインー」






そしてティキは、アレンの近くまで歩み寄る。




僕はその瞬間にイノセンスを発動し、一瞬でティキの懐に潜り込み刀を奮った。




だがそれをギリギリのところで避けられる。








『っ、クソッ……!
それ以上アレンに近寄るな』


「……いきなりは反則だろ?」


『ふざけるな、さっきから。

お前はスーマンを殺した。
それに…他のエクソシスト達も…。

これ以上仲間を奪われてたまるか!!!』








僕は姫王を構え直すと、素早くティキの背後に回った。








『――――姫王、“蒼水龍”ーソウスイリュウー』







その呼びかけに水か龍をかたどり、ティキを飲み込む。



少し加減はしてるけど、力いっぱい放出している。




極力アレンにはかからないようにはしてる、けど。








「っと…、やっぱ危ねぇなあ…そのイノセンス」


『チッ……“蒼雷龍”ーソウライリュウー』







軽く舌打ちをしてからまたもや技を仕掛ける。



周りが水で濡れたことによって威力は上がる。






――――だが、これは命中率が他のと比べて低い。



蒼水龍を回避したティキなら避けられない筈がない。








「ふー、…落ち着けって……な?」


『……るさい、』


「どーせ本調子じゃねえんだろ?」


『黙れ』


「ならさ――――」









瞬きしたその一瞬、






僕は思い切り木に叩きつけられた。








――――バキィッ!!!





『っ―――ガハッ……!』


「ふー、…しばらく大人しくしてろ」








さっきの攻撃とは反対にふわりと優しく撫でられた頭。



そこは、軽く熱を帯びていた。









「……さて、と。


少年のイノセンスは…どうかな?」








気を取り直したように話し出すティキを憎々しげに睨む。



それを知ってか知らずか話し続けるティキにもういいやと諦める僕。





――――しかし、僕は後で死ぬほど動けない自分を後悔する









ニヤリと笑ったティキの殺気が膨れ上がり、彼はアレンのイノセンスを、















コ ワ シ タ










『アレ、……ン、』








僕はその光景が印象的すぎて、何も耳から聞こえてこなくなった。




嘘、でしょ?




どうして、なんで。





クロス、こんな時どうすればいいの






僕にはもう、分からないよ






――――ヒュン





『………え、』






何かが僕の横を通った。



遅れて後ろを見ると、金色のゴーレム…ティムが夜空を羽ばたいていった。








「ありがと…ティム、」


『……キャル、』








アレンの囁きが聞こえた。



まだ、僕の世界はある。




ここに、いる








『ティムの応援に行って。

お願い、キャル』








何時もなら素直に言うことを聞いてくれるキャル。



……なのに、キャルは首を横に振るばかり。







『っどうして!! 行きなさい、キャル!』








どれだけ怒鳴っても、イヤイヤと首を振り続けるキャル。



そして、まるで自分はずっと側にいるよ、とでも言いたげに僕の頬にすり寄ってきた。








『……ばかキャル…』








僕はぼそりと呟くと、キャルを閉まった。



















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