D.Gray-man

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リナリーがアレンに咎落ちについて説明している中、僕はかつてのスーマンを思い出していた。










「セシル」


『んー…?……ありゃ、スーマン』


「聞いたぞ、…長期任務だそうだな」








少し切なげに寄せられた眉を見て、僕はにへ、といつもみたいに笑った。







『だーいじょぶだよ、スーマン。
僕ならすぐ帰ってくるからさ!

…僕より、スーマンのが心配だよ』


「……私?」


『ん。…そーだ、今度僕が帰ってきたその時は――――』














――――一回だけ、スーマンをパパって呼んでもいい?


――――ああ、構わないさ


――――ふふ、約束だよ?


――――もちろん、






















私に出来ることなら、何でもやろう




――――へへ、大好き!スーマン!


――――おや、嬉しいな


――――んじゃ、行ってきます…スーマン








――――行ってらっしゃい、セシル




















『……すー、まん…』




《許サナイ…》








彼の声が、脳に響いてくる








《逃ゲルコトハ 許サナイ…》








『ス、マン……ッ』


「スーマン!!」









リナリーが叫ぶも、もちろん届く筈がない。







僕は咎落ちがスーマンだと聞いてもう限界なのか、二人を置いてスーマンの元へと行く。








「なっ…セシル!!」









アレンの呼び止める声なんて、聞こえない。









『スーマン、何があったの…?』


《ウルサイ…》


『僕、帰ってきたんだよ…?』


《ウルサイ…!》


『スーマ、』








また呼ぼうとしたその時、リナリーとアレンが近くまで来ていた。








『リナリー、アレン…』

























「たすけて……」















不意に聞こえたその声は、幼い女の子の声
















「おかあさん……どこ……?


たすけ……」








どんどん飲み込まれていく女の子を引き上げたのは、アレンだった。




しかし反対にアレンが飲み込まれてしまった。








「アレン君!!







アレン君!!




















ことばが、きこえない







リナリーの叫ぶ声も、






どんどん遠ざかっていく






ただ聞こえるのは







スーマン、貴方の声だけだ







家族に、会いたかった?







…そっか、そうだよね






だって貴方は、家族を救うためにエクソシストになったんだから







でもスーマン







僕はね、どんな理由であろうと







スーマンに逢えたことに感謝するよ

























『………パパ』


「おとうさぁぁん…」


『……スーマン、』


「やだよぅぅ…っ」







『……ただいま、スーマン』



















「ジェイミー、














セシルっ………!」









そして、それはまるで時計が指したように、





コチン、と音をたてた





















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