学園アリス

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ふわりと肌寒い風が頬に当たる。

それにより閉じていた目をゆっくりと開けた…。









『……また、病院か…』









確か今日は委員長が帰ってくる日。

なのに昨日脱走して、挙げ句に体調を悪化させてしまったんだ。



退院許可が出るはずがない。

また脱走を試みようとしても昨日よりも厳重な監視があり、断念せざるを得ない。





憂鬱な気持ちではぁ…と溜め息を零した。









『……今頃、委員長帰ってきてるんだろーなぁ…』









まだケホケホと咳き込みながらもぼそりと呟く。


その呟きは誰にも聞かれることはなく、風と共に消えていった。







――――コンコン







こんな時に誰だろうと、ノックされたドアを数秒見つめどーぞと声を掛けた。









「よお、元気かー?」


『……(バカ)医者…』


「おい、医者の前も聞こえてんだよ!!

……っと言ってる場合じゃなかった。
お前のとこのクラスの…委員長?がさっき病院に運ばれてきた」


『………は?』









今、このバカは何て言った?

委員長がここに運ばれてきた?


どうして? 何で?



グルグル疑問の言葉が頭に巡る。









「……お前ならとっくに聞いたことあるだろーよ、








アリス、紛失者だ」


『――――っ!!』









その言葉を聞いた途端、あたしはガッとこの医者―――那月ーナツキーに飛びついた。








『っ今すぐ連れてって!!』


「バカ言うなよ、お前今の体調『ここで行かなくていつ行くの!!』









あたしの本気が分かったのか、ポリポリと頭を掻いて那月は深い溜め息を吐いたあと、無理すんなよと言い部屋を出ていく。



それにあたしもついて行った。













「確かここだったよーな…お、バカ杏樹じゃねーか」


『え、杏樹先輩?……って、あれ蜜柑と蛍…?』


「……なんかバカ杏樹の頭に付いてねぇ?」


『……付いてるね』









遠目からでも蛍の手に持っている物を見て、何かやったなと苦笑する。



那月はそんな杏樹先輩の姿を見て大爆笑中。









「ギャハハハハハっっ!!! 何コイツ、餓鬼にンな事されてんの?

うわダッセー!!」


『うるさいバカ』


「バカじゃねーよ、少なくとも…コイツよりな」


『……ああ、まあ…確かに』


「ブッ…後で杏樹に言っといてやーろぉっと♪

“愛美が杏樹の事バカにしてたぞー”つって!」


『死ね、クソ』









そんなバカみたいな言い合いをしながら蜜柑たちの所へ行く。





そしてあたしたちに気づいた蜜柑が愛美!!と叫ぶ。


走ることが許可されていないあたしは出来るだけ急いで歩く。





やっと着いた……。

そう思い、委員長と向き合う。

















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