D.Gray-man

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ひさびさの自室で浅い眠りから覚め、外からの気配を感じてドアを開けると両手をガシリと掴まれた。

ドアの外に居たのは―――鴉。




『……朝から何?』

「我々と御同行願います」

「抵抗される場合は実力行使ですので悪しからず」




そもそもその抵抗すらさせる気ないくせに

僕は未だ掴まれる腕に嫌悪感を抱きながらも頷いた。
それと同時に両手を施錠され、まったく身動きが取れなくなる。

ウザ、と悪態を隠すことなく言葉に出すが鴉二人は何も言わなかった。









――――着いた先は厳重そうな扉の前

重々しく閉じられたその扉を、鴉は音を立てながら開けた。視界に入った中は、何やら会議をしていたみたいで。




「御苦労でした、下がりなさい」

「「はっ」」

「さて…今回の事で欠かせない者の御到着です。入ってきなさい」

『…………』




下がれ、と言われた鴉は颯爽とこの場から去っていく。反対に私は中に入れと言われ、手首に重苦しい施錠をしたままガチャガチャと音を鳴らし無言で中に入った。





「―――さて、マリアン元帥の話を終えたところですが、」





君の処分はどうしようかね?


瞳をギラギラさせながらそう僕に尋ねてきたルベリエ。ふん、と僕は鼻を鳴らして顔を背けた。





『汚らしい奴が僕に話しかけないでくれる?』





僕のその一言に、この場の者達はうるさくざわめき立つ。どうやら今ので確実にノア側だと受け取られたようだ。




「裏切り者」




どこからか聞こえてきた。クス、と思わず笑いを零してしまったのは仕方がないだろう。




「…何が可笑しいのかね?」

『いやぁ………裏切り者って…お前等が何言ってんだ?』




急に低くなった僕の声に、ルベリエは目を細めて尚も掘り下げてくる。僕がもう何も知らない哀れな奴だとでも思ってるのかな。だとしたら相当なお馬鹿さんだと思う。




『ぜーんぶ知ってんだけど?…兄さんが教団のモルモットだったこと、』




コムイたちの顔色が、変わった。



『挙げ句の果てには…兄さんを殺したこと』



ねえ、コムイ。貴方は前に言ってたよね、僕は覚えてるよ。

僕がエクソシストを守る、って。

でもさ、その中に兄さんは居なかったんだね。




『それにさぁ…僕の中にノアメモリーがあったんだ。それをお前らが勝手に勘違いしてここに連れてきたんだろ?』




くすくす、誰も喋らないこの部屋に僕の笑い声が木霊する。けど、ルベリエは毅然として口を開いた。




「"14番目"」

『―――、』

「フッ…その様子だと何か知っているようですな」




形勢逆転とでも言いたげにルベリエは僕を睨みつけた。




『…まさかあんたらの口からそれが出るなんて、


誰から聞いた?』

「答える必要性が無い」

『………14番目の"何"を知らないあんたらが何かを掴んだところで所詮上辺だけ。

僕は何も話さない』




そこから矢継ぎ早に質問が飛ばされても、僕は言葉通り何も言わなかった。ルベリエはさっきの鴉を呼び出して僕を痛めつけても、僕が口を開く事はなかった。




「強情な裏切り者め…!それを地下牢に入れておけ」

「はっ」

『っ、ウグッ!』




ガッと髪を引っ張られ、強制的に立たされる。そのまま僕は人通りの少ない道を経てたどり着いた先は、さっきルベリエが言っていた地下牢。


そこに無造作に放り込まれると、僕はしばらくの間動かなかった。



『………は、んだよ…これ、』



兄さん、兄さん


会いたいよ


冷たい床により孤独を感じた。





この日から何日、何週間の間かは定かではない時間をこの牢獄で過ごした。







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