D.Gray-man
□08
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大きな声で叫んだ千年公。
その直後、巨大な蛇の形をした龍が空を舞う。
「喰らえ」
瞬間、炎は僕らめがけて襲ってきた。
ティキはグイッと僕を引っ張り、ギュッと抱きしめその後アクマの腕に乗った。
他のノアもティキ同様ちゃんと無事避難していたが、ただ一人。
「あ、」
『ありゃま』
「ギャハ!!千年公が喰われたー!!!」
僕たちがのんびりとそれを見ていると、
「アホな♡」
という言葉と共に、レロを使い空へと浮いた。
『あ、いた』
「んー?ま、あれくらいで死ぬわけねェな、あの人が」
『アハハッ!だねぇ』
ティキと笑い合っていると、千年公のギラついた声が鼓膜を震わせた。
「元帥、の攻撃ではないですネ、この程度ハッ♡
出てきなさイ…ネズミ共♡」
僕たちの視線の先にある土煙が、どんどん晴れていく。
そして、姿が現れた――――
「元帥の元へは行かせんぞ、伯爵!!」
「キャー♡勝ち目があると思ってるんですカー?♡」
ブックマンの言葉に、挑発的に返す千年公。
それに僕らもニヤリと笑った。
「ほう、あのフザケた形のデブがはくか、ブックマン」
「そうだ」
「あれが“製造者”…」
「あれが…
私たちの、宿敵」
耳の良い僕には聞こえる、彼らの会話。
クロウリーの“フザケた形のデブ”と言う台詞に思わず飛びかかりそうになった。
それをギュッと抱きしめて止めてくれたのは、やっぱりティキだった。
「落ち着け、セシル」
『っ……だってあいつっ、千年公を…!』
「わーってるっつの。
てかさ、もしあれが俺のことでも怒ってた?」
その場違いな問いかけに、僕は一瞬視線をさまよわせるも、コクリと頷き、
『……たり前でしょ、ティキが一番好きなんだから』
こんな事言わせんな、バカ、と小さく呟く。
ティキはそれに満足したのか、唇にチュ、とキスしてきた。
その突然の行為にワナワナと震える。
『っティキ!こ、ここここんな場所で……!』
「俺もセシルのこと、愛してるぜ」
その思いがけない言葉に、口元が緩んだ。
僕も、とまた小さく呟いた。
「ほら、危ないから千年公のとこにいろな」
『え、僕も戦う!』
「ダメだっつーの!つか俺が許しても千年公がいいって言うはずないだろ?」
『〜〜〜っ、そんな事ないよね!?千年公!』
どうしても僕も戦いたくてバッと千年公を見上げる。
千年公は僕を見て一言、
「さあ、セシル♡こちらへ来なさイ♡」
『………ハイ…』
絶対の言葉に素直に従った。
その、直後。
ティキは獲物を見つけたみたいで、一言言うとトンとその場を去った。
『ブーッ!ティキが戦ってるのに僕は何でダメなのー!!』
「スミマセンねェ…少し我慢してくださイ、セシル♡」
またもやヨシヨシと、まるで幼子をあやすようなそれに、僕も口を閉ざした。
「……なあセシル」
『……なぁに、デビット』
不意に話しかけてきたデビ。だが、僕の視線はティキに向いている。
「今から昔のお仲間と戦うってのに、嫌とか思わねェの?」
その答えに興味あるのか、千年公も口を挟んでこない。
フゥ、と息を吐き出すと、僕は閉ざしていた口を再び開いた。
『……全く思わない。
だってさ、兄さんの事を知ってたのに教えてくれなかったし。
それに、僕の大事で愛してやまない兄さんを殺したのはあいつら教団。
嫌よりむしろ、』
殺したくてたまらないよ
その答えに満足したのか、みんな笑顔でそうかと言った。
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