D.Gray-man

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ロードに宥められ、少し落ち着きを取り戻した。



それを見計らい、伯爵はゆったりとした口調で話し出した。






「これからお話することは、セシルにとって嫌な事かモ知れませんヨ?♡」

『……分かってる、だけど…何も知らないままいることなんて出来ない』

「そのせいで何かが変わっテモ?♡」










『兄さんが…レイ兄が死んだ本当の理由を知れるなら……世界が狂ったって構わない』







その僕の返事に満足したのか、伯爵はにっこりと微笑んだ。


ロード、と伯爵が彼女の名前を呼ぶと、彼女は何故今名前を呼ばれたのか分かっているみたいで、はぁいと返事を返した。




そしてロードは、彼女の能力で一つのドアを何もない所から出した。







「どぉぞぉ〜、……セシル」







無邪気なロードに促され、僕は椅子から立ち上がり、ゆっくりとそのドアに近づく。




距離が縮まり、あと一歩で中に入れる所まで来た。






「大丈夫だよぉ〜、僕らはここでセシルの帰りを待ってるからぁ〜。


……だから、だからねぇ〜?」







ちゃぁんと、帰ってきてねぇ







フッと寂しそうに笑った少女の顔を見た瞬間、僕は中に引きずり込まれドアは独りでに閉まった。





















――――



『………まっくら、』







どうしよう、とぼんやりと考えていると、どこからか声が聞こえてきた。



僕はその声がする方に向かって歩みを進めた。






どんどん進んでいくにつれて、大きくなる声。



その声は、どこか懐かしい声だった。







「やぁやぁ!レイ君!」

「……コムイさん」

「調子はどうだい?」

「………別に、いつもと変わりないです」

「んもう!ほんっとーに君って愛想がないよね!」








そこにいたのは、コムイともう一人
















――――レイ兄、だった





だけど、その姿は最後に家で見た健康的なそれではなくて、





傷だらけで、少し痩せてしまっていた





コムイの言うとおり、笑顔の欠片もなくて、





僕の知っている兄さんではなかった








『レイ、兄………?何が…』







何があったの?






その言葉は紡がれることなく心の中で終わりを迎えた。








「あ、そーだ…今日もヨロシクネ?」

「………わざわざそんな事言いに来たんですか」

「やだなぁ、そんな僕が暇人みたいに」

「…………」

「ご、ごめんってばー!」









その言い合いは、端から見れば中が良さそうに見えるやりとりだった。




だけど、僕だけは断言出来る。






この二人の関係は、そんな軽いものじゃない。








「それにしてもさー、レイ君もちゃんとご飯食べてよね!」

「……腹、減ってないんで」

「だーかーらー、もう君の体は君だけのモノじゃないんだから!

ちゃんと気を使ってよね!」









当たり前のように放たれたそれは、僕の思考回路を奪った。







「………かってます、…んなこと」

「ならいいけどね。…さて、そろそろ行こうか…レイ君」

「………はい」

「今日もよろしくね、



















大事なモルモット君」





















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