D.Gray-man
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“家族”
それは、今は亡き兄さんと
教団ーホームーの人たちのことだった
なのに、それは間違いだったの――――?
『…………ん、っ』
目がぼんやりと覚め、一番に視界に入ってきた風景は、まったく知らないものだった。
まだ覚醒していない頭で考えても見いだせない答えにまあいいやと楽観的に思うも、それはすぐに訂正することとなる。
『っそう言えば僕…ティキに、』
バッと起き上がり、体の節々が痛むもあまり気にせずよたりながらドアまで進む。
あともうちょっとでドアノブに―――だが、それは悔しくも宙を切った。
代わりにゴンッと痛そうな音が部屋に響いた。
「うおっ!…わ、わりぃ」
「んー?……ティッキーさいってー」
「ワザとじゃねェよ!!」
先ほどまで聞いていた声ともう一つ、懐かしい声が耳を掠めた。
ドアに思い切りぶつかった額をさすりながらも涙目で前を見つめる。
そこには、二人のノアがいた。
『………は?』
「うわぁーい!やっと目が覚めたんだねぇセシル〜!」
可愛らしくピョンッと僕に抱きついてきた少女―――ロード・キャメロットを反射的に抱きしめ返す。
それに気を良くしたのかふふっ、と笑ってちゅ、と僕の頬に口づけた。
『ロード…軽々しくこういうのやるなって言わなかったっけ?』
「軽々しくじゃないよぉ〜、千年公とセシルだぁけ♡」
「え「もちろんティッキーにはしなぁーい」…わかってんよ」
軽いコントみたいな話。
だけどこれはいつものことだった。
ノアの連中に会うと、気が狂う…。
なんか、体中の血が騒ぐ、みたいな……。
小さく首を傾げる僕を、ロードとティキは意味ありげに微笑んだ。
『……で、そろそろ教えてくれるよね。
ティキがアレンを殺した理由』
「…んなの、俺がノアで少年がエクソシストだから…だろ?」
『だからふざけるなっての。
あの時わざわざティキの目的が“アレン”だったんだ。
何か、明確な理由があるんでしょ…?』
探る視線をティキに向けると、ティキは参ったと言うようにひらひらと両手を上げた。
ロードはさすがセシル〜とさっきよりも抱きしめる腕を強めた。
「それは、少年が……
クロス・マリアンの関係者だからだ」
『…………それ、だけで?』
「…今俺らが元帥狩りをしてんのは知ってるだろ?」
『、うん』
「その関係もあってだ」
『っじゃあ…、僕は!?僕だってクロスの関係者だよ!!』
叫ぶ僕を宥めるようにロードが優しく僕を呼んだ。
「ちょっと落ち着いてよぉ〜セシル。
僕らがセシルを殺すわけないでしょぉ〜」
『……それ、初めて会ったときからずっと聞いてるよね。
――――その、意味を』
少しロードを体から放せば、むぅ、と膨れたがすぐにいつものニヤリとした笑みを浮かべた。
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