D.Gray-man

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ホームに帰ってきてから一週間が過ぎた。




3年ぶりとは言え、古株も少なくなってきているここは、新しい仲間が増えていた





その一例が、アレン・ウォーカーというクロスの弟子…つまり僕の弟弟子と、ブックマンJr.のラビ。




それぞれにはもう挨拶も済ませておいた。






アレンとはお互いクロスの苦労話を主にした。



ラビとは――――あまり話す気にはなれなかった。


ただ、たんに僕がブックマンを苦手としているからだけど、ね。








「あら、おはようセシル〜!」


『…おはー、ジェリー。
早速で悪いんだけど、いつものお願い』


「んふふ、わーかってるわよ!
ちょっと待ってなさいね」








食堂でいつもの僕の特等席に座って料理が出来上がるのをテーブルに突っ伏して待つ。



今の時間帯の食堂は、ガラガラだ。





神田はティエドール部隊としてマリとデイシャと共にティエドール元帥の元へと行った。




リナリーたちクロス部隊も、つい先日行ってしまった。




本当は僕も行こうとしていたんだけど、コムイに引き止められそれも無理になってしまった。








「はい、待たせたわね」


『……んーん、ありがと』








ジェリーが僕の目の前にコトリと置いた物――――それはホットケーキだ。



甘い匂いにつられて笑みを零してしまうのも仕方がない。







『………ん、おいし…』








ホットケーキを口いっぱいに頬張ればもちろん顔が破綻してしまうのもいつものこと。




それに今日はファインダーや他のエクソシストもいないし、ゆっくり味わうことができる。











『――――ん、ごちそーさま』









綺麗に食べ終えたお皿をジェリーの所へ返す。



そして僕は何かに引っ張られるように大聖堂へと向かった。

























・・・






『………なに、これ』


「っ、……セシルちゃん」


『コム、イ……』


「……よく、頑張ってくれたよね」









コムイのその言葉に僕は改めてさっきの朝食を思い出す。



何やってんだ、僕は。




今は休養中、だが僕は―――まがりなりにもエクソシストだ。





そのエクソシストがここで何をやってるんだ?








『……なに、やってたんだか……』


「……セシルちゃん…?」








大聖堂から聞こえてくる弔いの声から逃げるように僕は背を向けた。








「っどこに『今から僕もクロス部隊と合流するよ』







有無を言わせないその声色にコムイは押し黙る。



そんなコムイを安心させるように振り返りざまにめったに見せない笑顔を向けた。








『…行ってくるね、コムイ』


「……行ってらっしゃい、セシルちゃん」








ちゃんと返してくれたその言葉に込み上げてくるうれしさ。



そして今度こそ行こうと足を踏み出したその時、








「っセシルちゃん!!」









珍しく慌てるコムイの声が耳の鼓膜を震わせた。




思わず振り返ろうとしたけど、それをコムイに止められた。









「そのままでいいんだ。
















無事に帰ってきたら、セシルちゃんに言いたいこと―――伝えたいことがあるんだ」







それにはいつもの飄々とした雰囲気が含まれていなくて、








『………わかった、』








だから僕も片手をあげて返事をした。




















(休養は、休養じゃなくなった)(この後知る真実なんて欲しくなかった)
 

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