The philosopher's stone

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――――ボクワーツに来てから早二ヶ月





懐かしさもあまり感じなくなってきたこの頃、今日はいつもより浮き足立っていた。




それもそのはず、今日は甘いもの好きと悪戯好きにとっては最高の日だからだ。






え、それは何かって?








決まってる、








ハロウィンだよ!!!









『ふんふふん♪ふんふんふふん♪』








ニコニコと大きなバスケットを抱えて鼻歌を歌いスキップをする私を、いつもなら変な目で見るんだろうけど今日だけは別だ。



なにせ今日はハロウィン(それ何回目って?気にしなーい)なのだからね!







みんなが授業に出ているであろうこの時間帯に悠々と歩きながら中庭へと向かう。






その途中で見たことのある赤毛がいた。








『あれは……』








後ろから見ても分かるくらいお菓子を持っている二人にキラーン!と目を光らせ足早に二人の元へと歩く。








『フレッド!ジョージ!』


「「んぉ!!あ、シアン!」」


『ふふっ、早速で悪いんだけど……

trick or treat!!』








バスケットを足下に置き、ニコニコと手を差し出す私を見て二人はブッ!と盛大に吹き出し、あろうことか堪えるように笑い始めた。








『な、ちょっ、二人とも!?
何もそこまで笑わなくても――――』


「クククッ、さすが我らが姫だ!!」


「その素早さには我らも驚き!!」


「「そんな姫様にはこちらをどうぞ」」








恭しく一礼したかと思うと手のひらに乗せられたのはハニーデュークスのお菓子。



しかも今の季節限定の、だ。








『う、わぁ……うわぁうわぁうわぁ!!!
ホントに!?ホントにこれくれるの!?』


「勿論だとも」


「して、姫君?」


「「trick or treat?」」








ニヤリ、と悪戯な笑みを浮かべた二人にへへっと私も悪戯な笑みを返す。


そして今の今まで足元に置いていたバスケットを再び腕の中に収め、ごそごそと探す。








『んと、んー……っと、あった!
はい、これ二人に』








はい、どーぞと言って渡したのは一人で食べきれる大きさのケーキ。


もちろんワンホール。



二人はこれに驚いてるみたいで、目を点にした。








「これを、僕らに…?」


「こんなに、凄いものを…?」


『ん?そんなに凄くはないけど…あ!安心してね?

ちゃんと甘さは控えめにしたんだから!』







ビシッと指を突きだしてそう言うと、二人は静かにそれを浮かせた。


そしてその静かさとは反対にいきなり抱きついてきて私はその勢いに受け止めきれず、最終的にドシンッと後ろに倒れる羽目になった。








『ったぁ〜。ちょっと!フレッド、ジョージ!
抱きつくにしてもいたい「「大好きだ、シアン!!」」







私の非難を遮って大声でそんな事を叫ぶ二人に、私は一瞬フリーズした。



…にも関わらず二人は未だ愛の言葉を囁いてくる。








「君は流石だよ!もういっそ僕のお嫁さんにしようか!」


「いやいや、そこは僕のだろう!」


「「いや、もういっそ僕らのお嫁さんに!!」」






……などと言っている始末。


これはある意味ジェームズより太刀が悪いのかもしれない。



















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