The philosopher's stone

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翌朝、今日はきちんと自分で起きて大広間まで行く。



道中で「今日は珍しく早起きじゃないか」と声をかけられながら。





……みんな、失礼だよね。

ムゥ、と頬を膨らませながら大広間に入る。




そこはいつものように閑散としてなくて、寧ろ夕食の時のように人で溢れていた。








『おはよ、ロン、ハリー、ハーマイオニー』


「おはよう!」


「おはよ、シアン!」


「あら、今日はちゃんと起きれたのね」


『ふふ、うん』








カタリと席に着くと、ゴブレットの中は暖かいミルクティーが入っていた。



コクリと一口飲むと、ホッとする。




そうして少し微睡んでいると、たくさんの梟たちが大広間にやってきた。









「梟便だ!」


『あー…そうだね』









さすがに今日は来ないでしょ、と勝手に推測してまたミルクティーを飲む。



するとロンの手元に手紙と新聞が落ちてきた。








「これ、読んでもいい?」








ハリーの問いかけにロンは頷いて手紙を読む。


私はそれを見ていると、バサバサバサっと手紙が降ってきた。




……それは、一枚二枚という程度のものじゃない。




15、6通くらいある量だ。





幸いゴブレットの中には入らなかったけど、私の場所だけ手紙だらけになっている。




ハリーたちはそれを見て目を丸くしている。








『はぁ…どこの誰から…』








一つ、手に取り送り主を見る。
…と、そこで私の動作は止まった。








「シアン?どうしたの?」


『……シウス、』


「え?」








ぼそりと言ったからか、誰にも聞こえていないようでロンは私に聞き直してきた。





私はそれを無視して手紙の内容を読む。



そこには昔の事や今の現状、そしてこれからどうするのか…それらがつらつらと書かれていた。








『……ばか、』








ホントに…マルフォイ、否ルシウスはバカなんだから…。



ふ、と彼がここに通っていたときの事を思い出す…と、そこで後ろから声をかけられた。







「シアン、それ父上からじゃないか?」


『……ドラコ、』


「えっ!? あのルシウス・マルフォイから!??」


「ウィーズリー、口を慎め。
お前みたいな奴が父上の名を軽々しく口にするな」


『ドラコ、言い方。

それと、これ…ドラコの言うとおりMr.マルフォイからだよ』







もう読み終えた彼からの手紙をテーブルに置く。


今も昔も変わらない彼らしい字に目が奪われた。








「やっぱり、父上の字だからな。
……父上は…何か僕のことを書かれていたか?」


『ううん、…あ、そう言えば…』


「っ何て!?」


『ふふっ、ドラコと良い関係を築いてやってくれって!』


「……ち、父上………!」








もちろん本当に書かれてあった内容。
たぶん…アブラクサスや自分の時みたいに、寮関係なく仲良くしてやってくれって言う意味だろう。


全く…そんなこと一々書かなくても分かってるっての!







それから私は手紙を読む作業に集中した。



内容はほとんどが一緒のことだった。




…送り主はどれも旧友だったけどね。







そして最後の一枚。
それは、旧友からの手紙ではなかった。












――――ホグワーツの校長、ダンブルドアからだった。








『どうして……?』








急いで中を読む。
そこには、今まさにハリーが騒いで言っている内容と全く一緒のものだった。








『“グリンゴッツに侵入者が入った。
犯人は例の金庫を狙ったそうじゃ。

十分に、気をつけなさい”…嘘でしょう…?』








あと一歩遅かったら、“例の物”―――“賢者の石”は盗られていた。





それを考えるとゾッとした。

もう復活を試みてるのか、と昔ハリーに…いや、リリーにやられた男―――ヴォルデモートを頭に思い浮かべる。








「――――…シアン?」


『っ、何?』


「いや…ボーッとしてるからさ。
大丈夫かい?」


『……うん、大丈夫だよ。
ほら、次は飛行訓練でしょ?

早く行こっ!!』








ゴブレットの中身をゴクッと飲み干し、未だに心配そうなハリーの手を引っ張った。



その後ろからハーマイオニーとロンが着いてくるのを横目で見ながら。




















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