学園アリス
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クリスマスパーティーも終わり、年度末の最後の行事と言えば、
『大掃除だるー』
ですよね?
『あれ?鳴海先生?』
「っ、なーんだ愛美ちゃんかー!」
『なんだって……結構傷つきますよそれ』
「ふふ、ごめんごめーん!」
特力に行こうとしていたら、少し険しい顔で自分の手を見つめていた杏樹先輩に声をかける。
そしたらいつものお得意の笑顔で切り返してきた。
『……手、見せてください』
「っえ、ちょ」
グイッと無理やり手袋を外す。すると前よりも酷くなった黒の染み。
『…何ですぐ言いに来なかったんですか』
「忘れてた☆」
『嘘つけ。……治します』
まだブチブチ言う先輩を軽く無視して手のひらに治癒のアリスをする。
完璧に治りはしなかったけど、黒い染みは薄くなった。
『はい、お終いです。
それじゃあ、あたしはもう行きますね』
よしっと踵を返す、がくるりと振り返り真っ直ぐに彼を見つめる。
『……自分で自分のやったことを“裏切り”なんて言わないでくださいね』
それが図星だったのか目を丸くした先輩にフハッと笑い今度こそ特力に向かって歩き出した。
―――――――
――――――
――――
『やほー』
「あっ!愛美!来てくれたん?」
『うん、頑張ってるねー』
もう特力に席を置いていないあたし。
なのにこんなに暖かく迎えてくれるここは、あたしの大事な居場所。
『………?のだっち、蜜柑たち何見てるの?』
「ああ、特力のアルバムですよ」
『アルバ「わー!ナル先生と岬先生の若い頃の写真があるーッッ!!」
あたしの台詞を遮ったその言葉に、岬先輩はブーッとお茶を吹き出し、それがあろう事かのだっちにかかった。
先輩は焦り混じりにそれを拭き取り瞬時にその写真の元へと飛んでった。
あたしも昔の彼らを久しぶりに見てみたいと思い、その写真の所に行く。
そうして見た写真には、不機嫌丸出しの二人が写っていた。
『っ、ククク……あははは!!!』
「こ、こら!!笑うな雪峪!」
『だ、だって…プフッ、せんぱ……アッハハハハハ!!!』
その後、漸く笑いが収まりまたアルバムを覗き込むと、たくさんの写真に杏樹先輩が写っている。
だけど、みんなの動揺の声は先輩と一緒に写っている人の顔が黒く染みになっているからだ。
「何なんだろこの2人……」
「誰かの悪戯にしても悪質だぞ。
これじゃまるで誰かが2人に呪いでもかけたみたいな感じだし……」
誰かのその言葉に、あたしを含めた岬先輩とのだっちはみんなに気づかれない程度に表情を歪める。
…と言ってものだっちは相変わらずの顔だったけど。
ぼーっとみんなの様子を見ていると、どうやらその写真の一人が先ほど壁に書かれていた“柚香”と同一人物と特定したようで。
飛び火がのだっちにくるのにそう時間はかからなかった。
「……その方は、昔特力のクラスの担当教師だった方で」
「昔?」
「そーいえば…昔、特力に無効化のアリスを持つ先生がいたって聞いたような……」
殿内先輩の一言に、みんなは驚愕の視線で彼を見やる。
殿内先輩もそこら辺は曖昧なのか、少し言葉を濁しながらのだっちに確認を取る。
「蜜柑と同じ無効化だな」
それに嬉しいのか、またジッとアルバムを見つめだした蜜柑。
その両隣には蛍と流架。
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