学園アリス

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しばらくみんなと話していると、チラリと目に入った時計にあたしは焦る。









『ごめんみんな!! あたし急いでるからもう行くね!』


「えーっ!?」


「もっと話そうぜー愛美ー!」


『お前はもう少しあたしに対して敬意を払え。

一応君よりも年上だ、あたしは!!』


「えー、だって今の愛美さー年上って感じなくね?」








昔から生意気だった男―――広樹ーヒロキーにあたしはズベシっと頭をひっぱたく。







「いってーなあ!! バカ愛美!」


「今のはどう見ても広樹が悪いだろ」


「そーだよ! 愛美先輩にそんな口利いてさ!」


『もっと言ってやって!みんな!』


「ちぇー、別にいーし」


『ったくもう…そんなに拗ねないのーっ!

んじゃ、あたし行くね?




…みんな、気をつけてね』


「「「「はいっ!!」」」」


「愛美こそ、気をつけろよ」








みんな何のことを言ってるのか分かってるみたいで。


逆に広樹はあたしの心配をしてくる。



それにみんなも同意見なのか何も言わず、それよりもうんうんと頷いている。







『……ハハッ、みんなには適わないなあ…。




うん、気をつけるよ』








最後に全員の頭を撫でてからあたしは高等部校長室まで走った。




後ろからの視線に応えるように。

















――――バンッ









『ごめん一兄!遅くなった!』


「……お前は、静かに入ることができないのか?」


『ご、ごめんなさーい』









一兄からの痛い視線にすぐさま謝る。


それにいささか気を良くしたのかトゲトゲしい視線は外された。








「まず、どうしてすぐに私の所に来なかった」


『…すぐに会いに行っても初校長に怪しまれるかなと思ったから』


「ハア…で、結果バレたんだろう?」


『よくお分かりで…』


「……バカ者。 心配したんだぞ」









そう言ってギュッと抱きしめてくれた一兄にあたしはキュウッと心が震えた。








『心配かけてごめんなさい……っ!』


「全くだ」


『何も連絡しなくてごめんなさい……っ!』


「……あぁ、」


『信じて待っててくれて、ありがと……一兄!!』








そしてあたしは今回の任務内容を話し、気をつけろという暖かい言葉を貰いその部屋から出た。









――――



『ここ、だったよね』









懐かしいその部屋―――生徒会室の部屋の前まで行き、確実にいるだろうと判断を踏まえた上で、コンコンとノックをする。





……すると、一瞬の間を開けてからどうぞという声が聞こえた。







あたしはそれにガチャリとドアを開けた。








『……やっぱり、いたか』


「なっ、愛美!?」


「何でここに「話は済んだんですか?」








殿内先輩の言葉を被せて聞いてくる秀ちゃんにうんと頷く。





まだ驚いてる初等部の三人。









『……それよりも、敬語はいいよ』


「もう癖みたいなものですから」


『もう…広樹も少しはこれを見習って欲しいなあ』


「え、愛美木津ーキヅー(広樹の名字)と知り合いなのか!?」








驚いた様子であたしを見てくる殿内先輩にうあ、面倒なことになったとげんなりするあたし。



助けを求めるためにチロッと秀ちゃんを見る。



そんなあたしにふぅ、と溜息を吐いてから秀ちゃんは口を開いた。









「殿内、そんな話をしにきた訳ではにいだろう」


「っあ……」


「…殿内、何故黙ってる。






それとも答えられない理由なのか?」








未だ黙ってる殿内先輩にあたしは先程の秀ちゃん同様ハァ、と溜息を吐く。




何の算段があってここまで来たのかは知らないけどさ、並大抵の頭じゃ秀ちゃんたちを騙せるわけないじゃん、と心の中留める。






――――その時、









「ウ…ウチのせいなんですっ!!」









蜜柑が、沈黙を破った。








「うちが…うちがムリ言ってここまで連れてきてもらって…」


「蜜柑っ」


「うちの親友が…蛍が事件で大怪我して……。

だから、だからあいつら(Z)追うためにここに……っ」








蜜柑は必死になって言葉を紡ぐ。


……でも、でもそれじゃあ…









「それでは君達がここにいる説明になってないな」


「あ…」


『…それに、今井 蛍のケガも元を辿ればあんたのせい。

今度はそんなに大人数で行って、誰をケガさせて帰ってくるの?』


「っ………」








悔しげにあたしを睨む蜜柑。


…ごめんね、蜜柑。


こんなに冷たく言っちゃって。




許さなくていいから、さ。







無事で、ただ笑っていて……。



















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