学園アリス
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『……委員長』
「愛美ちゃん…体調は?」
『ああ…全然平気だよ! この医者が過保護なだけだから!!』
「おいてめ―――ッッ!!」
何か言いかけた那月の足を思い切りガンっと踏みつける。
それにより那月は続きを言う事が出来ず、悶えている。
「そっかあ…良かった…。
せっかくの再会なのに…こんな形で会っちゃってゴメンね…」
『っそんなの委員長のせいじゃないよ!!』
「……僕、どうなっちゃうんだろな…。
……みんなとこのまま、会えなくなっちゃうのかなぁ…?
あんなに帰りたかった家なのに、こんな形で帰る家は………やだな…」
泣きながら笑う委員長は、どんな思いだったんだろう。
アリスを無くした委員長は、今どれだけ悲しみを背負っているんだろう。
あたしにはまだ、計り知れない……。
その後、あたしはどさくさに紛れて蜜柑と蛍と教室に行こうとしたけど、バカが目ざといために病室に強制送還された。
心配そうな目で見てきた2人に笑顔で手を振った。
「じゃー、大人しくしてろよ」
『分かってるよ、バーカ』
「チッ…相変わらずむかつく餓鬼だぜ…」
そう言って那月は出て行った。
必然的にこの病室にはあたし一人。
静かさが目立つ中、あたしは考えに耽っていた。
『今回の紛失者は委員長。
ということは…“外”でアリスを無くした可能性が高い。
それに踏まえて今までの紛失者も“外”。
……だとすると、今回の事件は…』
それから何時間が経っただろうか。
いつの間にか眠っていたあたしを起こしたのは、まさかの緊急サイレンの音だった。
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