学園アリス
□10
5ページ/7ページ
まだフェロモンが効いているのか体に力が入っていない。
『ふ、ぅ……せん、ぱい……?』
「……その体質、何とかしろよ」
口調が前に戻ってしまう。
……コイツといたら本当調子狂うよ。
『むり、ですよ……大体、だれのせいでこーなったと……』
舌っ足らずに言う愛美に思わずキスしそうになるが、なんとか堪える。
愛美を抱いたまま舞台の方に戻ると、蜜柑ちゃんたちが寄ってきた。
……あんまコイツのこんなとこ見せたくないんだけどな。
「先生!?愛美どないしたんや!?」
「ナル……」
蜜柑ちゃんが慌てる中、蛍ちゃんは冷めた目で僕を見つめた。
いや、君たち誤解してるよ。
僕の事どれだけ信用してないのさ。
「おいナル、コイツどうしたんだ」
「棗君……いや、ちょっと疲れただけみたい」
絶対に“フェロモンに弱い”なんて言わない。
愛美の弱点をそう易々と教えるわけないでしょ。
.