学園アリス

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なかなか面白いなと自然に笑う。
……まさかこんな所で笑えるなんて思わなかった。



ふふっと込み上げる笑いを耐えていると、舞台での場面が変わり、流架君が出てきた。








『……かっこいいなぁ……』









たとえ嫌な役でもあんなにちゃんと出来るなんて凄い。


あたしだったら全力で拒否ってるよ。




そして誰かの合図で動物たちが一斉に舞台に向かって走り出した。









『………………え……?』









流架君は迫ってくる動物たちに顔を綻ばせ、そろってラインダンスした。




………なるほど、流架君のアリスは動物フェロモンなんだね。


だからこの役嫌がったんだ。


……そりゃあ嫌がるわ、誰でも。






そしてまたパーマちゃんが意地悪を言っている。


……ホントあなたにぴったりだよ。





そしてパーマちゃんが頭から鏡に向かって頭突きしたりとか様々なシーンがあった。








『……さっきのって……心読み君とキツネ目君だよね』








ホント何したの君たちと唖然としていると、今聞きたくない人の声が聞こえた。









「《はぁ〜〜い!子猫ちゃん♡
お楽しみのとこ失礼!

僕は君のピンクのハートにキューピッドの矢を射に来た狩人♡


よ・ろ・し・く☆》」









明らかにフェロモンをまき散らしてる杏樹先輩でした。


フェロモンをまき散らしてるからガードも飲んでない挙げ句人よりも効きやすいこの体質。


フニャフニャにならないのを必死に抵抗している。








『っあ……、くぅ……っ!』









だめだだめだだめだ、耳から杏樹先輩の声が離れない。



五感すべてを支配された感じがする。

もう足腰も立たないだろう。









『〜〜〜っ、先輩のばか……!』









そこからは、あまり覚えていない。
なぜか電気が消えたし、いつの間にかミュージカルは終わっていた。




どんどん人がいなくなる中、あたしは未だに立てずにいた。














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