08/12の日記

18:36
「ポチ拾いました」裏話 電子書籍ボツ案
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8/5に「ポチ拾いました」と「へたれな課長さんが好き」のコラボ続編、「ハワイ旅行当たりました」が完結しました。
読んでくださった方、本当にありがとうございました!

「ハワイ旅行当たりました」は、自分的には電子書籍のSSでも番外編でもなく、「続編」という意気込みで書きました。

ポチと水月が手をつなぐシーンは、特に力を入れました。
人目を気にする水月に、ポチがどういう答えを出していくのか、というのが自分的には隠れた裏のテーマでした。(表のテーマは、ポチが旅行を楽しめるようになるかどうか、ということでした)

ポチが水月の不安にどう答えるのか、どう向き合うのか、というのを考えながらポチ視点を書いて、
書き終えた、よかった! これでもう後はラスト一話だと最終話を書き始めて――

実はこの時点では、水月がポチの手を握るシーンに意味を持たせる意識はありませんでした(昨日の続きという感じだったので)。
でも最終話を書いていて、自然と水月の「気づき」が出てきました。

というか、ここで水月からポチの手を握ってこそ、なんですよね。

ずっとポチがどう答えるのかという方ばかりに気を取られていて、そんなポチに水月がどう応えるのか、ということに関しては考えが至っていなくて、
そこを書いて、ああ本当に本編に対する続編になったなぁと思いました。


……と、こんな真面目一辺倒な話では全然ないので、
というか見所は、なんでも完璧そうなポチがいかにずれてて心に欠落があるかという話なので(笑)
未読の方は、ぜひポチの欠落ぶりをお楽しみください。
(そして要所要所で、課長と雨宮が和ませてくれます笑)


さてさて、タイトルのボツ案ですが
これ以降は、電子書籍収録の後日談に関して若干のネタばれがありますので、ご注意ください。


電子書籍には、水月の元彼でトシという男が出てきます。
トシは何回か出てくるのですが、電子書籍を最後まで書き終えた時点でふと気づきました。

こいつ、毎回15分ぐらいで退場するなぁと。
なので15分の男(笑)

こう書くと小物っぽいのですが(いや小物なんですけど)、でも割と名脇役です。
とりあえず、毎回引き際だけはあざやかです(笑)

そんな15分の男トシとポチが後日談で会話する一場面です。
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<ボツ案>

「その分だと、(水月と)ケンカとかしねぇんだろうな」
「していませんが……」
 貴方とはしていたのですかという目で見られ、トシは苦笑した。
「口ゲンカなんかしょっちゅうしてたさ。ヒートアップしたら髪はつかまれるわ、耳は千切れるってぐらい引っ張られるわで散々だった」
「……そうですか」
「あー、一回、首根っこに歯型つけられたこともあったな。あっれは隠すのマジ苦労した」
 笑い話のつもりだったのだが、男はなぜかだんだん深刻な顔になっていく。
「……熱烈ですね」
「ああ?」
 番犬は目を落とし、さっきまでの無感情とは違う、感情を押し殺したような声で言った。
「水月さんとはずいぶん、遠慮のない関係だったのですね。首を噛むなんて」
 ……これぞ隣の芝生は青いってやつか?
 遠慮なく首噛まれるより、ケンカしない方がよっぽどいいと思うんだが。
「まぁ、遠慮がないっつーより、単に俺が割と年上だからじゃねぇの? その分容赦がねぇんだって。あんたは水月より年下だろ。だから……」

 すると――男は真っ黒な目をこちらに向けてきた。
 大型犬がきゅんきゅん鳴いている、そんなオーラが重なって見える。

 ……ああ、気にしてんのか。年下ってこと。

 さっきまで無敵っぽかった番犬だが、こいつにも弱点があるのかと思うとちょっと胸がすく思いだ。
 番犬はめっちゃブルーに沈んだ声で呟いた。
「年下だから手心を加えられていると」
「いやいやいや、格闘技じゃねぇんだからよ。別に年下は嫌だって言われたわけじゃねぇんだろ?」
「そうは言われていませんが、水月さんが過去につき合った相手は全員年上なんです……」
 本気で悲しげな顔をしだした番犬一匹。ショッピングモールの通路で哀愁を漂わせている。
「まぁまぁ、水月に噛みつかれなくてもだな、代わりになんかされてるんじゃねぇの? スキンシップ的な」
「……」
 単なるフォローで言っただけで、返事を期待したわけじゃなかったのだが、番犬は一時思案した後、
「……頭はよくなでられますが」
「頭?」
 予想外の答えに思わず聞き返すと、番犬の方も、え、という顔をした。
「それは私だけ……ですか」
「じゃねぇの。俺はされたことねぇぞ。一回も」
「……」
 どう解釈していいのか番犬はぐるぐるしているようだ。自分だけ特別と喜ぶべきか、ますます年下扱いだと身に染みるべきか。……多分両方だろうけど。
「にしても頭って、手ぇ届くのか?」
 想像してみたが、立った状態でやるとかなり不自然だ。
「いえ、それは膝」
 そこまで言って、番犬ははっとした顔になった。
 ああ、膝枕か。
 こっちが納得顔を見せると、番犬は面白いぐらいみるみる赤くなっていった。
「ついでに耳かきでもしてもらってんだろ」
「そっ、そ、それは……っ」
 さっきまで映画に出てくる殺人ロボットみたいだった男が、すっかりしどろもどろになっている。
 なるほど水月の前ではポチになるんだなと、なんとなくわかった瞬間だった。
「まあ、いいんじゃねぇの。かわいがってもらってるみたいだし」
「……!」
 何か認めがたいものがあるのだろうが、言葉にはならないらしく、番犬は無言で悶えている。
 ……ま、多分、年下ってことも含めてあんたでよかったんだろうさ。それで水月がしっかりしたんなら。
 耳まで真っ赤になってぷるぷる震えている番犬を横目で見ながらそう思った。

 ……ちょっとシャクだから言わねぇけどな。

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ここが最後に直した箇所です。
直前までこれでいくつもりで、原稿はこれでお願いしますと送ったところ、
担当様から、ポチが元彼に懐いている感じがありますがこれでいいですか、という旨のご指摘があり、最後の最後で直しました。

修正して、やはり直してよかったと思いました。
修正前だと、トシが一枚上手な感じですが、
修正後バージョンでは、元彼のトシに対して、ポチが一本取っております(笑)
やはり攻には、元彼に対してこうあってほしい、というのがあるよなぁと、この修正で改めて思いました。

というわけで、これはあくまでボツ案なので、ポチが水月に膝枕されて頭をなでられているかどうかはご想像にお任せします(笑)

ここまで読んでくださって、ありがとうございました……!



☆コメント☆
[まつひろ] 12-04 20:51 削除
 初めまして

 パピレスのBL小説人気投票(シャレード)コーナーで、ずっと拝読させて頂いてました。
 最近、チャレンジされてないなぁ、もう読めないのかなぁ、と寂しく思ってた時に、ダメ元でふじみさんのお名前を検索してみたら、シャレードさんからデビューされてたのを知り、サンプルも読まずに即買いしました。
 面白かったです。
 もし、機会がありましたら、『執事』のお話(すみません、タイトルど忘れです)も復活させて下さい。あれ、切ない感じが好きだったので。

 今後も活躍される事を、熱望しております。
 頑張って下さいませ。

[ふじみまうす] 12-05 07:45 削除
まつひろさん、コメントありがとうございます!
ポチ読んでくださって嬉しいです……!
そして『執事と二人目の主人』のこと、覚えていてくださったんですね。
ただ読み掲載中以外で『執事』のコメントいただいたの、多分初めてです(笑)
『執事』は何度か公開しようと思ったことがあるのですが
そのたびに修正したい箇所が山ほど見つかり、これは公開できない……と断念しておりました。

ですが今回コメントをいただいて、公開することに決めました。
修正はほぼ無しになるかと思いますが、よろしければぜひお読みください。
一週間以内に、公開の日時などをこのHPトップの更新履歴に記載します。
応援のお言葉、嬉しかったです。本当にありがとうございました……!

[ひるちゃん] 02-24 09:03 削除
まうす様のマゾ課長本を本屋で手に取りあまりの面白さに急いで番外編読みにきましたぁ。まずマゾ課長のタイトルにひかれお話読んだらまぁ面白い!萌えましたぁ!マゾ課長大好きです。大事な作品は紙で手に置きたいんで続編を楽しみにしています。これからも素敵な作品を楽しみにしています。

[不住水まうす] 02-24 21:15 削除
ひるちゃんさん、コメントありがとうございます!
『マゾな課長さんが好き』、読んでくださったんですね。しかも番外編まで……!
萌えが合う方と巡り合えて、自分もすごく嬉しいです。ほんとに貴重です!!
次の作品、出せるよう、がんばります……!

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