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□髪キス
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ルカが何気なくやっているはずの仕草。
それを、僕はいちいち気に留めてしまう。

これは、僕が恋愛経験がないからなんだろうか。
ただ単に意識しすぎているだけなんだろうか。
普通なら、どんな反応をすればいいんだろう。
普通なら・・

手をつながれても、キスをされても、僕は固まることしかできない。
緊張とは少し違う、甘酸っぱい感情。
それに囚われて、動けなくなる。

ルカ。

名前を口にするだけで、顔が熱くなる。
こんなものなんだろうか、恋って。








「ルカ」

部屋を出ると、ルカが壁に寄りかかっていた。

いつからいたんだろうか。
居間で別れたから、大分経ってる。


驚いて名前を呼ぶと、ルカは何も言わずに微笑んでくれる。

僕にだけ見せてくれる、
他の人には決して見せない、
この微笑みを見ただけで胸が高鳴るって言ったら、引かれちゃうかな。



たぶん、好きだったのは最初から。
ちゃんと出会った前からかもしれない。

友達が誰かといても、嫉妬なんて感情が湧いてくることはなかった。
なのに、ルカが傍にいないだけで、ルカのことばかり考えて、気づいたら、自分を嫌いになる程、ルカと共にいたいって思ってしまって・・・


「ユキ」

傍にいるだけで泣きそうなくらい嬉しいのに、名前を呼ばれたら・・


「ユキ・・」

僕は、僕じゃなくなってしまいそうだ。


「・・・」

ルカの顔が近づいてくる。

最近やっと分かってきた。
どういうタイミングでキスをするのか。

僕は黙って目を瞑った。

けど、中々唇に温かみはこない。


「・・・?」


ふわり。

軽く、本当に軽く。


一瞬、何が触れたのか分からなかった。
目を見開くと、ルカの首が目に入った。


前髪に、キスをされたのだ。



「・・ルカ」

どうしよう。


「・・何も言わなくていい」

こっちのキスの方が、ドキドキするなんて・・





◇ほのぼのルカ夕月。




 

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