途切れた鎖

□奴隷と山賊?
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あれから一時間ほど歩いただろうか。

私は泉にいた。

「姐さん、また捨て犬になつかれましたね」

「なんでだろうね。とりあえずランブ、こいつ洗ってやれ」

そんなやり取りをしながら、ここまで案内され今に至る。

女性は少し離れた所におり、今はランブと呼ばれた巨漢と二人きりでいる。

「いつも面倒事は押し付けられる」

そうぼやき、呆然と無言でいる私の服を「悪いな」と言いながら脱がせる。

「これ、鎖が邪魔だな。……やっぱ、切れないか」

一枚の布は呆気なく腕に丸まって収まった。

「じゃ、洗うぞ」

無言で頷き、ゆっくりと柔らかい布で身体を洗っていかれる。

冷たい水と、優しい肌触りが気持ちいい。

「だが、ほんと喋らないな。いいけど、なるべく姐さんと親父さんには逆らうなよ」

女性もだったが、ランブも優しく語りかけてくる。

山賊のようなことをして、話し方もそんな感じだけど悪い人たちじゃないような気がする。

本能が正しかったのか、油断させて売られるのかはまだわからないけど。

ほんと、わからないことだらけだ。

首から順に下に向かって足先まで洗い終わる。

「目瞑っとけ。頭洗うぞ」

ぶっきらぼうに聞こえたと思ったら、頭に思いっきり水が被せられた。

「中まで砂入ってやがるし。髪に臭い染み込んでるし。少し待っとけよ」

ランブは一度離れ、荷物の所まで何かを取りに行き再び戻ってきた。

「これで、臭いも減るはずだ」

何かの草を水に含み擦り付けると、僅かに泡が現れそれを頭に擦っていく。

それからしばらく頭を洗ってもらい、最後に水を被せられて終わった。

「こんなもんだろ。おい、先に上がってろ。荷物に乾布あるからそれで拭いとけ。俺も少し浴びてからいくから」

私に背を向け上着を脱ぎながら、先に行くように指示された。

傷がある背中から視線を離し、言われたように乾布を取り身体を拭く。

ゆっくり拭いていたが、ランブはまだ水浴びをしており、そのまま女性の下まで一人で戻った。
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