途切れた鎖
□奴隷と山賊?
3ページ/7ページ
あれから一時間ほど歩いただろうか。
私は泉にいた。
「姐さん、また捨て犬になつかれましたね」
「なんでだろうね。とりあえずランブ、こいつ洗ってやれ」
そんなやり取りをしながら、ここまで案内され今に至る。
女性は少し離れた所におり、今はランブと呼ばれた巨漢と二人きりでいる。
「いつも面倒事は押し付けられる」
そうぼやき、呆然と無言でいる私の服を「悪いな」と言いながら脱がせる。
「これ、鎖が邪魔だな。……やっぱ、切れないか」
一枚の布は呆気なく腕に丸まって収まった。
「じゃ、洗うぞ」
無言で頷き、ゆっくりと柔らかい布で身体を洗っていかれる。
冷たい水と、優しい肌触りが気持ちいい。
「だが、ほんと喋らないな。いいけど、なるべく姐さんと親父さんには逆らうなよ」
女性もだったが、ランブも優しく語りかけてくる。
山賊のようなことをして、話し方もそんな感じだけど悪い人たちじゃないような気がする。
本能が正しかったのか、油断させて売られるのかはまだわからないけど。
ほんと、わからないことだらけだ。
首から順に下に向かって足先まで洗い終わる。
「目瞑っとけ。頭洗うぞ」
ぶっきらぼうに聞こえたと思ったら、頭に思いっきり水が被せられた。
「中まで砂入ってやがるし。髪に臭い染み込んでるし。少し待っとけよ」
ランブは一度離れ、荷物の所まで何かを取りに行き再び戻ってきた。
「これで、臭いも減るはずだ」
何かの草を水に含み擦り付けると、僅かに泡が現れそれを頭に擦っていく。
それからしばらく頭を洗ってもらい、最後に水を被せられて終わった。
「こんなもんだろ。おい、先に上がってろ。荷物に乾布あるからそれで拭いとけ。俺も少し浴びてからいくから」
私に背を向け上着を脱ぎながら、先に行くように指示された。
傷がある背中から視線を離し、言われたように乾布を取り身体を拭く。
ゆっくり拭いていたが、ランブはまだ水浴びをしており、そのまま女性の下まで一人で戻った。