途切れた鎖
□奴隷と山賊?
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岩が風化により、洞窟と言うには申し訳ない程度の横穴に私はいた。
いや、連れて押し込まれた。
あの後、一言を発し周囲を確認してから首輪に繋がる鎖を引っ張られてここまで連行され、今に至る。
長身の女性が今、私を押し込めた穴を塞ぐように座っていた。
「で、聞かなくてもだいたい想像できるが。何をしていた?」
鋭い眼光で射止められるが、その意味がわからないからあまり効果がなかった。
「…………」
あふ、なんか困ったことになったな。と、どこか他人事のように女性を見つめる。
「さっきから喋んないが、言葉くらいはわかるよな?それか、喋べれないのか?」
一瞬、彼女の眼光に痛みが見えたような気がしたが鋭さはすぐに宿った。
「姐さん、こいつも人形なんじゃ。そんなら……」
穴の外から、そんな野太い声がした。
先ほど女性と共にここに連行した仲間と思われる。
「わってるよ。だけど、聞かなきゃ始まんないだろ」
やや苛立たしげに声音を強め、地面に置いていた曲刀を持ち上げる。
先ほど首に当てられていた正体がこれだった。
再び喉元に刃先を当てられた。
「恐怖もないか?なあ、アンリ」
アンリとは誰だろうか?
「あんたの名前だろ、アンリ。ご主人さまには何て呼ばれてたか知らないが名札にはそうあるからな」
刃先を動かしながら、チャリチャリと音を響かせる。
首輪に名札があったらしい。
自分からは見えないので気づかなかった。
「さて、アンリ。質問に答えて貰おうか」
そう言って動かしていた刃先を再度喉元に固定された。