途切れた鎖
□腐敗の玉座
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王都と聞き、道中もなんだか暗いわだかまりがあった為か、ヴィスカを少し不安にさせ、おねしょをランブに後始末させ、ヴィスカと話すセロにもやもやして意気消沈していた。
そんな感じで五日かけ、王都手前の街に入った。
「アン、お前なんか変だからもう休んどけ」
宿で夜食を食べた後、好物になっていた山羊乳を飲んでるとヴィスカに指示された。
「わふ」
確かにこの何日か熟睡出来ずに、一週間くらいの日程での徒歩を含めた行程に疲労がないとは言えなかった。
「それに、それ三杯目だろ。また、始末するのも面倒だからやめとけ」
「…………わん」
「まあまあ、そう何回も指摘しなくても」
道中から何回も山羊乳を沢山飲むのをたしなわれ、それを仲裁してくれるやり取りがあった。
「だが四回連続っすよ、コイツのおねしょ。毎回俺が世話してるし。飼い主の姐さんは、そういうのやんないし」
「適材適所だ」
「アンリも何か不安があって、一時的な心因性失禁でしょうから。そう怒らないであげてください」
なんだか、わたしの……その…………しちゃった事で微妙な空気になってきてるのかな。
したくてしてる訳じゃないんだけどな。
「とりあえず、それ飲み終わったら寝れ」
ヴィスカに強く言われたらなんだか逆らえず、僅かな山羊乳を味わいながら飲み部屋へと戻った。
宿主は借りる際嫌な顔をしていたけど、金銭的な理由で二人部屋に四人で寝ることになっていた。
初めは私とヴィスカが同じ布団で寝る予定だったが、ヴィスカが抵抗してそれぞれが二つの布団を使い、男性が床で寝る事になった。
「……あふ、ヤなんだ」
また私がしちゃう事を想定されてるみたいで嫌な感じだ。
服を脱ぎ、しぶしぶ自分に宛がわれた布団に潜り込む。
薄い布を何枚か重ね縫いした敷布と夏なら丁度良さそうな薄く小さい掛布に挟まれると、すぐに睡魔がやってきた。
「きょうは……ぜったい…………おねしょ………………」