途切れた鎖

□奴隷と山賊?
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「ん、戻ったか?……なんで、服着てないんだ。ランブのヤツは?」

やや顔をしかめ、女性は疑問を真っ先に口にした。

「あらってる」

手に丸めた布を絞った状態のままで、服を着ていないのがダメなのだろうか。

ランブに、絞った際に「あ、少し裂けたからな。ボロいからそのまま持っとけ」と言われ、結局水浴びが終わるまで待たずに戻って来たから、そのままの状態で歩いてきた。

「あいつも水浴びか。アンリはなんで裸なのかまだ解らんが。その手のが服か?」

手を差し出され、そこに布と一緒に手を置く。

「さっきより、ボロくなってないか?」

水を吸い、やや縮んだ服を見てそう女性は呟いた。

「このまま着せるより、新しいの着せたほうがいいんだろうけど……破っていいか?アタシのでかいだろうがまだマシだろ」

これを捨てて新しいのを着れと言われているみたいだけど、唯一身に付けていた物なので捨てるのが何故か嫌だった。

「これで、いい」

「そう言ってもな。もう、服の原型ほとんどないぞ。着れないわけじゃないが」

ややキツめにそう話掛けられるが、反発するように同じ事を繰り返す。

「これが、いい」

「わったよ、好きにしろ。なんとなく解るしな」

女性は呆気なく引き下がり、私にボロボロな服を慎重に着せてくれた。

その後、女性と共に近場の岩に腰を下ろし自分たちや奴隷について教えてくれた。

女性たちは、山賊なんかじゃなく旅をしているらしい。
山賊と聞いたら怒られたけど、似たようなこともやったことがあるらしかった。

私については客観的に見ても記憶喪失らしく、さらに痛みを帯びた目で一瞬見られた。

とりあえず、アンリと言う名前と奴隷だと言うことは確実らしい。

他には八歳くらいに見えるけど、感じからして推定十歳くらいじゃないかということ。
これには、奴隷の背景が関わっているとかいないとか。

奴隷については、詳しくは教えてくれなかった。
ただ、首輪に鈴と名札が付いているのは愛玩の証とか。
それがどんな意味を有するのかは、やはり教えてくれなかった。

そうこうしていると、三十分以上も経っていた。

「ランブのやつ、何してんだ」

空から泉の方へと視線を向けると、奥で何かが揺らめいた。
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