Promise

□Open my eyes
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失いたくないと思ったんだ
だから───僕は行くよ



「Open my eyes」



止まぬ攻撃に、シェルターが揺らぐのを感じた。

真夜中の襲撃。穏やかであったはずの夜は、硝煙の臭いに包まれていた。 
 
ビリビリと壁が震える。
危険度は増すばかり。このままでは遠からず突破されるだろうことは、容易に予想できた。
キラは、目の前で俯き、肩を震わせる少女を見つめる。

地震のように揺れ続けるシェルターの内部には、張り詰めた空気が流れていた。
その中に混ざる優しい人達の思いをキラは感じ取る。選ばなければ、そこにあるのは死だ。それなのに。
躊躇い、そして切なげに顰められた表情に。
それを、知る。

(守られて……いたんだ)
 
「貸して」

弾かれたように顔を上げた少女に、キラは微笑みかける。そっと、手を伸ばして。

「なら、僕が…開けるから」


『扉を開ける』

そう告げたバルトフェルド。
ラクスの視線を追った先に、扉。
その扉の向こうに何があるのか。突如、閃いたものがあった。
ラクスの躊躇に、それはゆるぎない確信に変わった。 
 
拒絶するように一歩引いて首を振る彼女を慰めるように微笑み、大丈夫だと告げる。
そっと抱き寄せた身体は、あまりにも細く頼りなくて。哀しげに水を湛えた瞳が、ひどく愛おしかった。

バルトフェルドともに、鍵を開く。
ゆっくりと開かれた扉の向こう、懐かしい剣を見た。
それは彼女が与えてくれた、守るための力。

痛みはなかった。心は静かに凪いでいて。
躊躇いなく、前へ進んだ。

──大切な人を、守るために。


□ □ □ 
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