Promise
□Praying
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ふと、彼の姿が見えないことに気がついた。
子供達は家の裏手で遊んでいる。その傍に彼の姿は無い。
ラクスは邸を出て浜辺へ降りる道へと歩を進めた。
彼の居る場所は容易に予想がついた。
あの島でも、ここでも。彼のいる場所は変わらない。
海を見続ける、彼。
彼にとって海はどんな意味を持つのだろう。動き続ける世界を表す、象徴なのか。
浜辺へ降りると、やはり波打ち際に求める人影を見つけた。
あたりには海鳥の鳴き声と、波の音しか聞こえない。
けれど。
彼の視線の向かう先に―――閃光が瞬くのを見た。
ラクスは痛みを堪えるように目を閉じる。祈るような気持ちでそっと胸を押さえて、小さく嘆息した。
顔を上げて、身じろがない彼の背中を見つめる。
風に遊ぶ柔らかな髪。
ふと、プラントで見た光景がそれに重なる。
アスランと戦い、傷ついた彼を保護した日々。あの時も同じように、彼はプラントの人工の海を見ていた。
あの頃から、彼の夢は哀しいままなのだろうか。
穏やかな日々にあって、なお。
その記憶は彼を解放してはくれないのか。
瞬く、ひかり。
あの空の下で、今まさに戦闘が行われている。
呼ばないで───ラクスは思う。
未だ癒えぬ傷を抱えた彼を、どうか連れ戻さないで。
あの光は、彼を戦いへと呼び戻すもの。彼を招く手。
逃れられないと、知らしめるように。
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