短編

□今更なにさ
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「で、なに」
「いや、その…なに話してたの」
「こーすけと喧嘩したって話」
「貰うとか、なんとか言ってたじゃん」
「こーすけがいらないって言ってたらしいから」
フジはあいつが好きなのか?


「こーすけがいらないなら俺が貰う」
「なんでよ」
「こーすけとあいつが出会う前から好きなんだよ……」
は…?
「なんで告白しねぇの」
「こーすけのが似合ってんじゃん」
似合ってんのか?
「あと、こーすけといるときの方が可愛かった」
「んだよ、それ」


「早く仲直りしたら」
「おーう…」










あれから一週間が経った。
謝るタイミングを逃し、あいつには避けられている。


『「あ…」』
「久しぶりだな…」
『う、うん…』
なに動揺してんの俺。
「その…今暇?」
『一応…』
「そこの喫茶店行くか」
『そだね』
やっぱ返事そっけないよなー。
「あ、珈琲とレモンティーで」
『よく、覚えてるね、こーすけ』
「まあな」
『で、なぁに?』


「ぁー…色々すまんかった」
『ん…』
「そのさ、仲直りしたい」
『うん』
「そんでもっかい…『今更なにさっ』…え?」
今こいつはなんと言った?


『ごめん…私も言わなきゃいけない』
「なにを」
嫌な予感しかしない。




『フジと付き合ってるの…』





申しわけなさそうに響く君の声。








「そ、そっか」
俺は遅すぎたのかもしれない。
『こーすけ、今更すぎる……』
「ん?」
『私もこーすけ好きだったのに…今更謝らないでよ』












初めて見た彼女だった人の泣き顔。
こーすけにしか見せてないんだからと呟いた彼女だった人。
俺の大事な人。
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