静臨*長編

□愛の痕
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池袋に着くととりあえず街の中をブラブラした。夜になっても人の波は途絶えず明るい色をしていた。


「相も変わらず、この街は元気だねぇ」


ぽつりと独り言を言っても街のざわめきによって消えた。
そんなことに苦笑しながらまた歩き始めた。


しばらく歩いているとドタチン(門田京平)を見つけた。



「ドタチ―ン!」

「おぉ、臨也か。久しぶりだな、ってその呼び方いい加減やめろよ」

「いいじゃん、そういえば遊馬崎さんとか狩沢さんって今日は一緒じゃないの?」

「あぁ、あいつらはまたアニメの写真集を並んで買いに行くって言ってた」

「ほんと好きだね〜俺は二次元には興味ないけどね」



暇だったためドタチンと久しぶりに話をした後別れた。
携帯で時刻を確認するとあれから30分経過していた。



本当にシズちゃん来ないかもなぁ――…




なーんて歩いているとサイモンが目の前にいた。


「オッーイッザヤー!スシクイニキタネ?オーケー、セキナライクラデモアイテルネー」

「サイモンか…今日は寿司って気分じゃないんだよ。また今度来るよ」

「カシコマリー!ケンカシタラダメダヨ」


すれ違いに手を上げてふった。



それからまた街中を回り飽きたためとある廃ビルの屋上に来た。

上から見る景色は好きだった。また時計を確認するとあと10分だった。



「シズちゃんならあの鼻と、直観力で俺なんてすぐ見つけられるだろ?…なんで来ないんだよ……!」



俺はフェンスに寄りかかって空を仰いだ。


本当に俺はシズちゃんにとっての玩具だったのかな…
俺にくれてた「好き」って言葉も「愛してる」も全部ウソだったのかな…


そんなことを考えているうちにもどんどん時間だけが過ぎていった。
もう一度時間を確認しようとしたら携帯の電源が切れてしまった。いつもなら何台か携帯を持っているが今日は持ってこなかった。



「ついてないねぇ…本当に」



俺は苦笑いをした。

これでシズちゃんとはもう会えないんだなぁ…。
これからは別の所に拠点を移してシズちゃんと一生会えないところまで――…



すると勢いよくバンっと屋上の扉が開いた。…いや、壊されたと言った方が正しいのか。こんなことできるなんて、



「いぃぃぃぃざぁぁぁぁやぁぁぁあああ゛!!」

「…シズちゃん、もう遅いよ。もう一時間経ったよ?」

「まだ1分ある」

「馬鹿じゃないの?あと1分だって同じだよ?もう俺たちは明日からまたいつもの日常に戻るんだよ、だってシズちゃんは俺のこと――…」


「あぁっ゛、うぜぇな!!」




シズちゃんは俺の頬を殴り背中からフェンスに当たった。そのフェンスは少しばかりへこんだ。




ほら、やっぱり俺のこと嫌いなんだろ?










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