静臨*長編

□愛の痕
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俺はシズちゃんの首元に唇を寄せシズちゃんがするみたいに強く吸った。






――…つもりだったのに何故か痕はついていない。

イラッときて思い切り吸ってみても変わらなかった。


「ぷはぁっ、どんな筋肉してんだよシズちゃんは……」


でもそんなことでは諦めず今度は少し噛んで吸ってみるとほんのり赤い痕が残った。でも時間がたつと消えてしまった。


シズちゃんを見ると未だ爆睡中だった。


とりあえず噛んで吸えば痕が残ると分かったため今度はさっきよりも強く噛んで吸った。



するとようやく痕が一つできた。


「ははっ、流石シズちゃんって感じだね…」


これでようやくシズちゃんが俺のっていう感じがした。
でもこれだけじゃ足りない。もっと痕を付けようと顔を近づけた瞬間シズちゃんの手が俺の後頭部を抑えてシズちゃんとキスしていた。


「ふっ!?んんぁ…」


離すとシズちゃんはムスッとした顔をしていた。


「シズちゃん起きてたんだ…」

「あぁ、お前が俺に勢いよく噛みついてくれたおかげでな。……何してんだよ?」

「いや、あのほら、シズちゃんにも痕をたくさんつけてあげようかなーって?」


苦笑いをしながら少しずつシズちゃんから遠ざかった。


「へぇ?そんなにお前たまってたのかよ?人の寝込み襲うくらい」

「な゛っ、違うし!!襲ってないし!!シズちゃんと一緒にしないでよ!」


シズちゃんの目が変わった。
あれは獲物を狩る飢えた狂犬のような目だ。あの目になったらやばい。またやられる!!


腰をあげようとしたらシズちゃんは後ろから俺を捕まえて項を舐めた。



「ひァっ、やだ離して!」

「やだよ」



シズちゃんは片手だけで俺を捕まえていた。



「じゃあ後ろにも痕つけておいてやるよ」

「いらないっ…よ、んぁっ」



痛いような甘いような感覚がして変な気分だった。シズちゃんに触ってもらえるなんて嬉しいはずなのにまた不安が頭の中によぎった。



こんなに嫌だって言ってるのにやめないのはただ俺をいいような玩具としてしか見ていないからなんだ――――…。



そう思ったらまた悲しくなってきた。

俺だけなんだ、シズちゃんが好きなのは…

俺、だけ………



「シズちゃん、もうヤダよ――…俺だけなんて…」

「は?」

「シズちゃんは俺のことなんて好きじゃないんでしょ!?俺はこんなにシズちゃんが好きなのにっ好き、なの…に…!」

「おいっ臨也…」

「触んないでっ!!」



シズちゃんは俺が大声をあげたことに驚いたのか腕の力が弱くなっていて簡単に離れられた。

俺はバッとベットから降りてキッとシズちゃんをにらんだ。



「俺、これから池袋いくから。今から一時間以内に俺を見つけなかったら別れる」

「はぁ゛っ!?」



これは賭けだ。
シズちゃんが本当に俺を必要してるのか、してないのかの。



「おいっ、何言って―…」

「じゃ、よーいドンっ!!」



俺はそう言って外に飛び出した。
シズちゃんは着替えないといけないからまだ来ないはず。

俺は電車に乗って池袋に向かった。














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