静臨*長編
□覚悟しろよ?
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<門田視点>
今日は渡草がいなくて狩沢と遊馬崎に連れられて一緒に行動をさせられるはめになった。
「ねーねーどこから行くー?」
「俺的には○○店のとこからがいいっすね!」
「えーでもその前にコスプレ店に行こうよ、今日は開店5周年らしくて半額なんだって!」
「お前ら、今日俺は夕方から仕事入ってんだからその紙にかいてあるやつ全部回るとか無理だからな」
「えーードタチンのケチー!」
俺の立場からだとこいつらの保護者代わりだった。
まぁ、俺がいなくてもこいつらなら大丈夫なのは分かっているのだが、やはりそれでも心配なのだ。
「じゃあしょうがないっスね、一人一か所ずつにしましょう」
「そうだねー、じゃあやっぱりコスプレ店かな!」
「おい、紙ばっかみてねぇで前向いて歩け」
「えー大丈夫だよって、わぁあっ!」
言ったそばから狩沢が通行人と真正面から当たり二人とも地面に倒れた。
「狩沢さん大丈夫っすか!?」
「うーん、なんとか」
ぶつかったもう一人の女に俺は手を差し伸べて聞いた。
「おい、あんた大丈夫か?」
「いてて…あ、へーきだよってドタ――…じゃなかった、門田さんですか」
俺を見上げてきた女を見てギョッとした。
その顔が臨也に似ていたからだ。
「お前…臨也か…?」
「え?あ…、私、折原臨也の従姉なんですっ!もしかして臨也お兄ちゃんの知り合いですか?」
従姉なんているのなんて聞いたことなかったがありえない話ではない。
それにこの人は女だ。
その臨也の従姉の腕を引っ張り立たせた。
「まぁ、そんなところだ」
「へぇーそうなんですか!こんな偶然なんてあるんですねぇ」
そう言った女が意味真な笑顔を浮かべて臨也にそっくり…というか臨也をそのまま女にしたような感じがした。
「なぁ、やっぱりお前―――…」
「キャぁ―!可愛い!!ねぇ、コスプレとか興味ないっ!?」
聞こうとした瞬間狩沢の大きな絶叫によって遮られた。
狩沢は目を輝かせその女の両手を握って喰いつくように説得し始めた。
「ねぇ!絶対似合うからさ、服なら私とか私の友達とかいっぱい持ってるから!なんならあげるしさ!!」
「え…でも私これから用が……」
「そんなの後回しだよ!ほら、早くいくよー!」
「はっ!?おぃ!」
狩沢はものすごい勢いでどこかへ行ってしまった。すると着信が入り携帯を取り出した。それは狩沢からだった。
『ドタチンすぐ帰るから待っててー(^^ゞ』
結構狩沢には珍しい短文だった。どうしようか迷ったがとりあえず待つことにした。でも、そうかからず狩沢は帰ってきた。
「やっほー!帰ってきたよ。ねぇ見て見てっ!超可愛くなったからさぁ!」
「やだ!無理っ!!」
狩沢に引っ張られながらさっきの女の悲鳴が聞こえた。どうやら無理やり着せられたらしい。まぁ、たまにこういうことはあるから慣れてしまったのかもしれないがそんなに怒りもしなかった。
そしてその女を俺の前に突き出した。
「ねっ!可愛いでしょー?結構ドタチン好みかも?」
「馬鹿言ってんじゃねぇよ、お前も悪いな。こんな奴の趣味に付き合わされちまって」
「…いえ……」
その女の服はゴスロリで確かに黒が似合うなと思っていたが予想以上に似合ってるとは思った。
その女の横で狩沢は嬉しそうに笑いながら写メを撮っていた。
その光景をみてまた深いため息をついた。
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