静臨*長編
□だから嫌いなんだ
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俺はあんな筋肉馬鹿嫌いだ。
道路にある標識を引っこ抜いた数はどのくらいだろう?
最初は数えていたけど三桁になったのでやめた。
それはおいといて今俺は今日もあいつに追いかけられている。
「待て、ノミ蟲ぃぃぃぃぃいいいっ!!!」
「待ってって言って待つ奴はいないだろ?いい加減学習したら、シズちゃん?」
「てめぇもそうだろっ!!いつも袋に来やがって……!!」
シズちゃんは右手に力を入れ俺に向かって標識をぶん投げた。それを体を左にずらしよけた。
「仕事の関係上しょうがないんだよ、たまたま今日は取引相手がここに来いっていうからさ」
そうこれは『嘘』。
本当は君に会いに来た、なんて言えるわけないじゃん…。
別に今日は仕事なんてない。ただ…なんとなく…。
そしたらシズちゃんはあのロシア女と楽しそうに笑っていた。
俺には決して見せない、柔らかな笑みで……
気付いたら俺はナイフをシズちゃんに投げつけていた。
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そして今にいたる。
さっきのことを思い出しまた俺はシズちゃんにナイフを投げつけた。
それをシズちゃんは簡単に避けその一本を右手で掴みそのままグシャリと握りつぶした。
あれは人間技ではない……化け物だ。
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