日常生活

□言葉にならない想い
1ページ/1ページ

※ELT「UNSPEAKABLE」イメージ。千歳の一人語り。



桔平…あんな事故がなかったら…俺らはまだ、一緒におったんやろね。

「橘さーん!」
「なんだー?」

今はもう、お前は別の仲間と別の場所で新しい一歩を進んでいる。

…けど、俺は?

俺も、新しい所で新しい仲間と別の道を……道を。

俺は、進めているのか?

事故が起こらないあの頃を考えては、戻れたらと考えてしまうのは…間違っちょる?

「ハハ…。」
「どないしたん千歳クン?」
「急に笑うなや、気味悪いやっちゃな!」
「先輩らと比べたら可愛いモンやないスか。」
「なんやと光!!」
「コラコラ。」

こぼれ出た苦笑いに反応されても、上手く返せなくて何も言わずに少し離れる。
髪を緩く掻いた時…耳に付けてるピアスが指先を掠った。
…あの頃、一緒に見つけた。

(こん気持ば…何て言えば良かとやろね…。)

淋しい? 羨ましい? 切ない?

そんな一言で例えられる言葉?

………分からない。ただ一つだけ分かるのは…

「…苦しか。」

そう呟いた途端、背中に温もりを感じた。背中同士がくっついていて、振り向くと相手の後頭部が。

「………。」

何を言うでもなく、そこにいてくれる。

…右目が、少しだけぼやけたような気がした。



end.


次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ