日常生活

□ミラクルドリンク!
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…扉を開けると、そこは天国だった。(某ホスト部より)

見慣れたジャージが散らばっている中、背が伸びている遠山の姿は、丈が合わず腕や脚がパツパツで今にも破れそうになっている。
その傍で謙也の周りでだぼっとした服を着ている幼児達が四人。静かに手遊びをしている子、謙也の腕にしがみついて風になっとるば〜い、と楽しんでいる子。
その様子を、白石と金色はだらしのない蕩けた表情で見つめていた。

「あ〜ん、みぃんなかわえぇわね〜♡」
「小っこい千歳とかたまらん…エクスタシーッ!!」

すると、金色の声に反応したのかバンダナを首に引っかけた子が金色の脚にしがみついてきて、こはりゅ、こはりゅ、と舌足らずに呼んだ。堪らず金色はその子を抱きしめると頬にキスを振らせた。

「イヤ〜ン、ユウきゅんかぁええ!」
「ハハハッ、ユウジは小さなっても変わらへんな。」
「白石〜、なんやワイめっちゃ大きなったで!」

白石よりも大きくなった遠山が、無邪気な笑顔のままではしゃぎだす。財前はなんとも言えない表情で口を噤んでいた。

「あぁ〜…、うん。正直金ちゃんには逆効果やったな。」
「み〜んなワイより小っこいのオモロ〜い!」
「………。」
「ざざ財前! 気持ちは分かる! 分かるから落ち着きぃ!」

謙也の大声に、しがみついていた千歳はビックリして泣きだしてしまった。その声につられて他の幼児達も声を上げて泣きだす。普段から幼児と関わる事のない者達はパニクりながら宥めだした。















「…そんで皆これいつ元に戻るん?」

更に表情に陰がかかってきた財前に気を使って、謙也は腕に抱いた千歳の背中を撫でている白石に疑問を告げた。

「あぁ、効果は個人差あるやろうけど明日には戻ると思うで。」
「はぁ!? すぐに戻るんとちゃうんか!?」
「そないすぐ元に戻ったら全然楽しめへんやないの! 一日…んっんん、せめて一晩だけでも皆の可愛らしい姿を愛でたいって思うでしょ??」
「……で、どないする気なんです。」
「実はもう既に部活の連絡網で今日一日泊まりって伝えてあるんや。せやから皆で俺んちに行くで!!」
「行動早ッ!!」

が、遠山はテニスしたいの一点張りで、白石家には寄らずストリートテニス場へ行ってしまった。ので、残りのメンバーではいそいそと片付けを終えると、白石宅へと向かうのだった。
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