日常生活

□ミラクルドリンク!
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ある昼休みのこと。二つの人影が怪しげな動きをしていた。

「蔵リン、それもう一さじ。」
「おん。…これでえぇか。」
「ついに完成したわ…!」

不気味な笑顔を浮かべるその姿は、調理しているようには見えなかった…。
そして時間は流れて放課後。テニス部は練習試合を行い、全員程よく身体が火照ってきて、休憩時間となった。

「やっぱワイ千歳とやんの楽しーわ!」
「ははっ、そげんね。」
「ちゃんと毎日来ぃや。」
「んー、考えとくばい。」
「考えるんかい!」
「み〜ん〜な〜、お待たせぇ☆」

各々で休憩していると、金色が飲み物の差し入れを持ってきた。…何故かメイド姿で。

「ダハハハハ! 小春なんちゅーカッコしとんねん!」
「ここここ小春! むっっちゃ似合うとるで!!」
「ンフッ、ありがとねユウくん♪ 今日はアタシ特製のドリンクを皆飲んでちょーだい♡」

そう言って手早く配ると、その場でくるりと回って小春はポーズをとった。一氏が興奮して写真を撮りまくる中、何人かは渋い顔をする。

「随分ピンクやなぁ。匂いも甘ったるいし…。」
「飲まん方がえぇっすよ謙也さん。」
「小春ーっ、このジュースめっちゃ美味いで!」
「あら〜ん、良かったわ!」
「…大丈夫みたい、やで。」
「…俺は遠慮しますわ。」

すると金色は着替えてくると言って飲み物のカップを回収すると、早足でスキップしながら校舎へ戻っていった。

「はっや!」
「て、そういや白石は?」
「あれ?」
「……。」

白石は早々に調理室に行って、小春が来るのを待っていた。そして戻ってくると、二人で騒ぎ出した。

「上手くいったで!」
「そうね♪ あ、と、は〜…」
「効果が出るんを待つだけや!」

そして、十数分後。二人はうきうきな表情でテニスコートへ向かったのだった。
が、そこには誰もいなかった。設備や道具はそのまま残っているだけで、人だけがいなかった。二人は不思議そうに辺りをきょろきょろと見回していた。

「あら? 皆おらんわね。」
「ホンマやな。どこ行ったんやろ、」

するとその時、部室の扉が乱暴に開いて財前が出てきた。白石達に気付いたようで、荒々しく歩み寄っていき険しい表情を浮かべている。

「おっ、財前。なんやそこにお、」
「何入れたんすか。」
「ぇ。」

ドスの利いた財前の態度に、白石の声が小さくなり金色を思わず後ずさった。

「や、やーね光クン! そない怖い顔しとったらイケメンが台な、」
「とぼけんなやアンタらの仕業やってことは分かっとんねん先パイらは皆小さなってんのに遠山だけデカなってさっきから見下ろされてごっさハラ立つんやさっさと戻さんかいゴラァ。」
「……ハィ。」
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