日常生活

□丸井誕!
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'12ver



新たな学校生活に慣れてきた頃。高校生になったブン太は料理部に、ジャッカルは陸上部に入った。だがテニスを辞めた訳ではなく、休みの日に打ち合っている。

「はぁ〜、今日の数学ムズかったな〜!疲れた…ジャッカル、おんぶ。」
「誰がするかよ!」
「んだよ〜、ケチ!」
「数学よりも古文の方が訳分かんなかったな…。読み方が…。」
「ハハッ、お前すげぇマヌケ顔だったぜぃ?」
「…どんな?」
「?(゚ω゚)?」
「マジかよっ!」

ブン太が再現した表情に思わずジャッカルは苦笑しながら帰路を進む。そして校門が見えてきた頃…

「お、あんなトコにワカメ。」
「おい。」
「この距離で聞こえねぇだろぃ。」

後輩らしき姿を見つけて、いつものノリでイジリ台詞を口にする。
校門に着くと、両手に色んな手提げ袋を持った後輩――切原赤也がご機嫌ナナメに仁王立ちしていた。

「うぉっ、お前すごいナリだな。」
「全部アンタ宛っスよ!つーか、今さっきワカメ言ったでしょ?!」
「ん? あぁ、言ったぜ…ジャッカルが。」
「俺かよっ!?」
「アンタだ!口パクで分かるわ!」
「お〜コワッ。」

通り過ぎる人達の迷惑にならないよう、器用に歩く赤也をおちょくるブン太。
その紙袋だらけの荷物を眺めながら、一つのお菓子袋を手にする。

「なぁ、これって…」
「あ〜、それ今日の調理実習で作ったヤツっすよ。」
「早く言えよ!これ一番楽しみにしてたんだからよ!」

そう言いながらその紙袋を引っつかむと持ち手を広げて覗き込む。
それらはマフィンで、大きさに違いがあるもののトッピングや焼き色に食欲を刺激されたブン太は、よだれが込み上がってくるのを感じた。

「おいおい、ここで止まんなよ。先の公園まで行くぞ。」
「へ〜い。」

二人揃って生返事を返しながら小さい公園まで歩き始めた。
そして着いた途端、公園のベンチで中身を出そうとする。

「おいもう食うのかよ?!」
「一個だけだっつの!なー、赤也のどれ?」
「あーコレっす。」

そう言って指さしたのは、少し形が崩れてしまっているがチョコチップの入ったマフィンだった。だがブン太は嬉しそうにかぶり付いた。

「へへっ、いただきまー♪」
「上が少し潰れてんな。」
「一人二個作ったんスけど、最初焦げちまったんで一個だけっス。」
「えー!?焦げたのは?まさか捨てたのか?」
「自分で食ったっス。ゃー苦かった…。」
「んだよそれも寄こせよなぁ!」

チョコを頬にくっつけながらブン太は言うも、それを平らげた。

「ん、ごっそさん!」
「はーい。おそまつっス。」

そう言って思わずその場で笑いあう。

「丸井先パイ、誕生日おめでとっス!」
「おぅ、サンキューな!」

そして三人は、予約しておいたケーキバイキング店へと向かった…。






end.
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