日常生活
□白石誕!
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'12ver
「ほな、また来週な〜!」
「おん、お疲れ〜。」
新学期が始まって一週間くらい過ぎた。本日の部活動は土曜日なのもあり、昼過ぎ辺りで解散となった。
部長の白石は、自身の日課となっている自主練をこなすといつもより早く部室に戻った。
「すまんな千歳、待たせて。すぐ終わるから。」
「んにゃ、大丈夫とよ。ゆっくりやりなっせ。」
扉のすぐ傍で待っている千歳を見て、内心焦りながらもしっかりと身支度を整えていく。
「っし、完璧!」
「行くたい。」
二人で部室を後にして向かった先は、千歳の住んでいる寮。
「白石、先に入って。」
「俺?」
そう言って先にと促す千歳の顔は、何かを期待しているような笑顔で。何かあると感づくも、敢えて気付かないような態度で部屋へと入った。
「ほな、失礼します〜。って暗ッ!なんやカーテンまできっちり閉めとんのか?」
そんな白石の反応に笑いながら、千歳は電気を点けた。
「…………これ。」
目の前に、カラフルな風船とクラフトペーパーによる飾りで彩られた光景が広がっていた。
「アハハッ、自分可愛らしいトコあんなぁ。これ…全部一人で?」
「そうたい。始めたらどんどん楽しくなってきたけん、全部使いきった。」
そう言って照れたように笑う千歳に、心の中にじんわりとした温かい物が生まれてくるのを感じた。テーブルの上にあるラッピングされた小箱を手渡され、
「…誕生日おめでとう、蔵。」
「…ありがと、千里。」
中身は、千歳の好きな映画の絵柄がある薄緑のマグカップ。二人、お揃いの物。
end.