翔くん

□、
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茜の鞄の中で携帯が鳴った
長いから電話だろうなぁ…なんて軽く考えたのは、一瞬で終わった

〜…♪
〜…♪
〜…♪
「…?」

鳴ってはすぐ切れて、またすぐ鳴る茜の携帯…
それが何度も繰り返された…


ピロリン♪
ピロリン♪
ピロリン♪
「…!?」

今度はメールの受信音が何回も鳴り響く
…いかにも怪しい…
少し様子見ですかね…

「二宮さーん、お願いします!」
「!はーい」

返事してDSをしまい、スタジオに向かう……その時…

ガッシャーン!!!
「「渡辺さん!!!」」
「!?」

凄い音と同時に茜を呼ぶ声がして、慌てて走ってスタジオに入ると、しゃがみ込む茜が目に入った…

「茜!!!」

茜に駆け寄ると、顔色のない茜が俺を見た…

「に、の…」
「怪我ない!?」
「ん…」

震える茜を抱きしめる…
茜の周りには破片などが散らばっていた

「渡辺さん大丈夫ですか!?」
「…何があったんですか?」
「そ、それが…!」
「落ちるはずが無い照明器具が渡辺さんの目の前に突然落ちてきたんです…!」
「今まで1度も落ちた事ないですし、今日も点検済みでした…」

スタッフ達も混乱してますね…
それにしても…

「落ちるはずが無い、ね…」


俺は照明が吊るされていたであろう場所を睨んだ
まさかとは思うけど…細工されてた可能性もあるかな…


「二宮さん、渡辺さん。申し訳ないんですが…この状態ですし、今日の撮影は中止で…」
「了解です。茜も落ち着かせたいんで戻ります。茜、立てる?」
「……」

聞こえてないか…
茜を抱き抱えてスタジオを出ようとすると、1人のスタッフと目が合った

「……」
「……」


気になったけど茜が優先だ
とにかく茜を連れて楽屋へ戻った…

その時もっと気にしていたら、茜は傷つかずに済んだのかな…?
この時の俺は、茜を苦しめる元凶がこの人物であった事なんて知る由もなかったー…
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