小さな輝き

□甘い一時
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『さあ、召し上がれ』


「…おおっ!」


「まともに見えるな」


「美味しそうですね」


「じゃあ、まず星野食べてよ」


「俺?!」


『・・・お前ら・・・』






宣言通り唯一作れるお菓子を作りました





チョコレート・ババロア





前に簡単レシピが雑誌に載っていたのが超私向きだったのでこれだけは作れるんです






「…いただきます」






おそるおそるという超失礼な行動で星野が一口






「!!」


「どうした星野!!」


「まさか、」


「うっめえー!」


『だろ?』


「マジで優衣これうめえよ!お前らも食べてみろって!」


「えー…」


「では私が」








大気が一口食べも見込むとこちらににっこりと笑顔を向け








「さすが唯一作れると豪語しただけありますね、とても美味しいですよ」


『うん、ちょっとイラッとしたけどまあいいや、夜天も将之も騙されたと思って食べてみろって』


「…うん…」







未だ不信がる様子の夜天と将之だが一口口に含み






「!美味しい!」


「まさか、あんなチョコ渡してきた奴が…」


『お前いい加減それ忘れろよ』


「いや、衝撃的だったからよ、クラスの男連中に言いふらしたんだよな、あれ」


『何してんだ手前!!』


「いや〜あれは大ウケだった」






将之の胸倉を掴み言うが慣れた様子の将之は笑いながら更に話していた





「優衣」






急に大気に呼ばれ振り向くといつもの胡散臭い笑みではなく心から嬉しそうな笑みを浮かべ





「これ、本当に有り難うございました、美味しかったですよ」


『大気…』


「また、仕事で疲れたとき、作ってくれますか?」


『…もちろん!』


「あ、俺にも!」


「僕も」


『うん、いつでも作ってあげる』









(・・・それにしても・・・)









先ほどの大気の笑顔





今日の声を上げ笑っていたのにも驚いたが





あんな嬉しそうな…年相応な笑顔








(初めて見たなあ…)








いつも大人びているからこそ、なんだか…








(可愛く見えた、かも)









こんな風に甘いものを作って喜んでもらって…






そして普段見ることのない表情を見れるのならば








(お菓子作り、頑張ってみようかなあ…)










可愛い、弟のような、存在に・・・

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