それは、必然

□Act.8
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「ただいまー」


『あ、3人ともおかえり、って…ね、猫?』





帰ってきた夜天の腕には猫




しかも、見覚えがありすぎる猫






(ルナじゃねえか…)




『どしたのこの子』


「優衣、正しくはこの猫ですよ」


『…どしたのこの猫』


「道で拾ったんだよ」


『拾ったぁ?!何で?!』


「“スターのペット拝見”それに出すためですよ」


『何で?!キモイカメレオンって言ってたじゃん!』


「星野が手乗りカメレオンにしてやるって言って逃がしちゃったんだよ」


「まあ、優衣からしてみればカメレオンは猛反対でしたからいいんじゃないんですか?」


『そりゃ、猫の方がいいけど…この猫飼い猫なんじゃないの?』


「でも首輪ついてねえじゃん」


『猫に首輪つけない人もいるみたいだよ、それに野良にしては毛並み良すぎない?』


「…ま、いたらいただよ、じゃ、僕この猫となれなくちゃいけ…なんで掻っ攫うのさ」


『まずは私』


「なんでだよ」


『だってこんな可愛い猫他にはない!!という事で私は猫に日頃の疲れを癒してもらうから部屋に来ないでね』


「あ、優衣!」








夜天の制止の言葉も聞こえない振りをして部屋の中にこもった









『さて、猫ちゃん、癒しておくれ』




(この子、うさぎちゃんが言ってた“優衣ちゃん”よね・・・十番高校の制服も掛かってるし…)




『あ、そーだ、ルナ』


「!?」





いきなり名前を呼んだ事にビビリ警戒しまくるルナ





『ハハ、そんな警戒しなくてもなんもしないって、だって私ルナのこと大好きだもん』


「・・・」


『どうして名前知ってるのって顔だね、それはまだ言えないけど…貴女の名前はルナ、うさぎちゃんの家に住んでてうさぎちゃんのパートナー・・・でしょ?』


「・・・」


『あと、話せる』


「…っビックリしたわ、敵かと思っちゃったじゃない」


『え、じゃあもう思ってないの?』


「貴女のその表情でね、それとうさぎちゃんのいってた通り優しい人みたいだから」


『…うさぎちゃんが?』


「そうよ、転校初日に優しそうな子って言ってたわ」


『…それは、うさぎちゃんのほうじゃない』


「…そうね」


『うさぎちゃんたちには言わないでね、3人と暮らしてること、美奈子ちゃんとレイちゃんを敵に回したくないし』


「あの2人は怖いからね、解かったわ」


『あ、それと…』


「何?」


『うさぎちゃんの側にいてあげてね、ルナが一番うさぎちゃんのこと理解してあげられる存在だと思うから』






私の言葉に目を少しだけ大きくさせた後ルナは笑って






「当たり前よ、私、うさぎちゃんのパートナーだもの」






その言葉に私も笑顔になった

























『で、夜天、本読むんだったら何で私を此処に連れてきた』


「読んでないよ、読んでるふり」


『何のために』


「用のない奴に話しかけられないため」


『…はあ、眠いから寝ようと思ってたのに』


「・・・さっきの授業爆睡だったくせによく言うよ」


『うっさい、眠いものは眠いの』


「…肩貸してあげようか」


『え?!ほんと?!』


「1分1万円で」


『…貸す気ねえじゃねえか』






そんなやり取りをしているとうさぎちゃんがやってきた






「夜天君」






うさぎちゃんに名前を呼ばれたが夜天は無視






「夜天君、何読んでるの?」


「別に、こうしてると君みたいに用もないのに話しかけてくる子もいなくなるから」





その言葉にプチンと来たうさぎちゃんは夜天の読んでいた本(ふり)を取り上げたたんだ





「なにすんの!」


「用があるから声をかけてんのよ!」


「どうせ君の用なんて…ラブレター頼まれたから渡すとかそんなんでしょ」


「ビンゴ!」


「多いんだよね、そういうの」


「はい」





うさぎちゃんからラブレターを受け取った夜天は飲み干したペットボトルとともにゴミ箱に投げ入れた





「ああ?!なんて事すんのよ!!」


「え、ペットボトルって燃えないゴミだっけ?」


「ラブレターよ!読みもしないでゴミ箱に捨てるなんて!乙女の決意を何だと思ってるのよ!!」


「君には関係ないじゃん」


「そういうことじゃなくて」


「そういうことだよ」








そう言って夜天は去って行った








『夜天』


「何?優衣」





夜天は私のほうに振り向くと固まった





『さっきのアレ…なあに?』


「あ、アレって…」


『ラブレターとうさぎちゃんに対する態度、それとペットボトル』


「ぺ、ペットボトル?」


『ぺットボトルは燃えないゴミだししかもリサイクルできるだろうが、キャップと本体分けて捨てろってんだ、ってそれはあんまりどーでもいいのよ!!他の二つ!!』


「ラブレターと月野?」


『そうよ!まず女の子にあんな態度とるなんて男としてどうなの?!というか人としてどうなの?!それと!ラブレター!!あれねえ!書くのでさえ勇気がいるし渡すのなんて死にそうになるんだからね!それを読まずに捨てるって!』


「…僕のこと表面上しか知らないくせに好きだなんて言う方がどうかしてるよ」


『そりゃ、私もそう思う、けど、表面上しか見ていなくてもその気持ちを受け止め誠意を持って返事するものでしょ?』


「…昔将之に告白した時ラブレターだったの?」


『いや、違うけど・・・でも、喧嘩ばっかりしてたあいつだけど、返事の時ちゃんと“ごめん”って言ってくれた、普段は絶対言わないくせにその時はちゃんと言ってくれた…それだけで私は振られてもちゃんと言ってよかったって思ったよ…好きになってよかったって』


「・・・」


『夜天、私は将之のこと結構知ってるつもりだけど、でも、そんな深くは知らない…夜天のファンの子達とそう変わらないの…それでも、好きって思って、告白して…返事を貰って…それが自分が望んだ答えじゃなくても、それだけでその気持ちは救われる…恋ってそういうもんじゃないの?』


「・・・」


『読むだけでも、それだけでもいいから、読まずに捨てるなんて事…それだけはこれからはしないで』


「…そんなの、僕の勝手だろ!」






そう言って夜天は走って去って行った






『…はあ、年頃って難しい…』
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