それは、必然

□Act.5
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「えー今日からうちのクラスで一緒に勉強する事になった内田将之くんだ、皆色々教えてあげるように」


『・・・大気』


「なんですか?」


『絶対裏で手回してるでしょ』


「してませんよ」


『いや、絶対してる、だっておかしいだろ、5人も転校生がいて全員同じクラスって』


「たまたまですよ」


『いや、やっぱおかしい』


「そこ、五月蝿いぞ」


『ごめんなさーい』




とまあ今朝のHRで将之の紹介があり、誰の策略かは知らないが同じクラスになりました



ちなみに席は窓際一番後ろ



変わってほしい…






そして現在、放課後



私はスリーライツの3人に頼み込まれています




「頼む!優衣だけが頼りなんだ!」


『いや、だから!無理だって!』


「…何してんだ、お前ら」


『あ、将之』


「それがですね、今日の昼休みの時に愛野さんに付き人にさせてくれって星野が頼まれまして…」


「で、星野が頼んじゃったってわけ」


「頼んだんじゃねーよ!断りきれなかったんだよ!」


『美奈子ちゃん押しに強いからね…』


「で、藤岡は?」


『私にも今日付き人してくれって』


「愛野さんでは不安なもので…」


「ああ、それで…いいじゃん、やれば」


『はあ?!冗談じゃない!何で私がこいつらの面倒を家の中以外でも見なきゃいけないわけ?ただでさえ大変なのに!!』


「・・・お前らどんだけこいつに迷惑掛けたんだよ」


「掛けてねえよ」


「そうだよ」


「私は掛けたつもりありませんが星野と夜天はいつもでしょう」


「うわー自覚ねえのかよ」


『オメーもだよ』


「へ?」


『いーじゃん別に美奈子ちゃんだけでも、やる時はやる子だし』


「でもいつもあんなのじゃん」


『夜天は今日の夕飯はいらないんだね』


「前言撤回」


『はあ、つーか私がいたら美奈子ちゃん不審に思うよ、もし一緒に暮らしてるのバレたりしたら…シャレになんない』


「そこはフォローするって」


「星野はうっかり口滑りそうだよな」


『ほら、あって間もない将之でさえわかってんじゃん』


「・・・解かりました」


「大気?」


「そんなにやりたくないんですよね」


『うん』


「そうですか…今日だけでもやってもらえたら、御礼に優衣が見たがっていた映画のチケットをプレゼントしたのですが…」




その言葉に衝撃を受けた優衣




『ま、まさか…その映画って…!』


「そう、優衣が見たがっていた映画“お嬢様と執事の秘密の関係〜禁断の恋は燃えて当たり前〜”のチケットをプレゼントする予定だったのが・・・残念です」


「…なんて?」


「お嬢様と執事の秘密の関係〜禁断の恋は燃えて当たり前〜?」


「どんな映画かタイトルで丸分かりじゃん、しかもこんなの優衣見たかったのか」


『それ大人気でいつも満席とか完売とかなのに…どこで手に入れたの?』


「これでも業界の人間です、どこからでも入手できます」




チケットをちらつかせながら大気は言う




「さあ、もう一度聞きます、今日だけでも私たちの付き人・・・してくれませんか?」




ガッシリと大気の手を握る優衣




『喜んでお受けいたします、大気君』


「そうですか、それはよかった、ありがとうございます」




そういって微笑む大気





「お前ら、こういう大人にはなるなよ」


「おう」


「これが賄賂ってやつか…覚えておこう」


「お前らは純粋に生きるんだぞ」





とまあ、こんな大人の裏側事情みたいな事もありながら現在ボイトレのためにスタジオへ




ちなみに面白がってついてきた将之もいます





「でもまさか優衣ちゃんがいるとは思わなかったわー、それに転校生君も」


『はは、私も』


「笑顔で引き受けたくせに」


『何か言った?』


「ていうか転校生君この間の人よね、優衣ちゃんの知り合いの」


『そうそう』


「・・・つーかさ、その転校生君ってやめてくんね?将之でいいよ」


「そう?よろしくね、将之くん、それにしても素敵ねー」




ボイトレ中の夜天に夢中の美奈子ちゃんに気づかれないように小声で将之に言う





『そんなこというなんて珍しいね、惚れたか?』


「んなわけねーだろ」





その時だった





「あれ何やってんの?」


「何って…ボイストレーニングでしょ」


「ボイン…クリーニング?」


「ボインをクリーニングしてどうする!!」


『おお、美奈子ちゃんナイスツッコミ』


「…あれが、“あれ”か」


『あーうん、本人には言うなよ』




その時私たちから少しはなれたところで写真をとっている人がいた




「ああ、ちょっとファンの方?勝手に写真取っちゃ困ります」




美奈子ちゃんが付き人らしく注意すると




「邪魔、ちょっとどいて」


「な、なによ…」


『あー美奈子ちゃんムカついてら』


「まあ、あの言い方じゃあな、つーかアイツ何?」


『カメラマン』


「…見りゃわかる」
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