短編

□ずっと好きでした
1ページ/2ページ

時臣さんが葵さんと結婚しません
というか葵さんは雁夜さんと付き合います←
夢主ちゃんの家は結構有名な魔術師の家系です















『時臣?』
「ああ、唯華かい?」
『うん、私だけど・・・
 何かあったの?』


いつもと少し違う雰囲気の時臣
話し掛けるのを少し躊躇してしまいそうになったけど、やっぱり話し掛けることにした

どうしたんだろう?


「いや、何でもないよ」
『何でもなくは・・・ないでしょ?』


どれだけ一緒にいたと思ってるの?
と言って笑うと時臣も少し笑って、そうだねと言った


「禅城の娘に結婚を断られてしまった」
『・・・そう』
「ねえ、唯華
 君は魔術師の子供として生まれて、幸せかい?」


それは思ってもいなかった質問だった

時臣は遠坂家として、私は如月家として
その名に恥じぬ立派な跡取りを目指して日々修行していた
最も、御三家の1つである遠坂の名を継ぐ時臣は私なんかより重いものを背負っていたと思うけど

それでも、私達は
ともに同じ使命を背負ってきた

魔術師として生きて
魔術師として死ぬこと

ずっとそれを目標にしていた
時臣だって一緒だと思ってた

だから・・・
その質問は驚いた


『どうしてそんなこと言うの?』
「禅城の娘にね、そう言われたんだ」
『・・・そう』


禅城
魔術師の家系であったにも関わらず、今は一般人として生活している家系
禅城の特異体質がなければ、遠坂だって相手にもしてないだろう
それなのに・・・
私達魔術師を馬鹿にするの?


『私は幸せだよ』
「・・・そうか」
『時臣は幸せじゃないの?』
「わからないんだ」
『どうして?』
「私は禅城の娘と結婚していたかもしれない」
『そうだね』
「だからだよ」
『・・・ごめん、わからない』


時臣の言うことがわからない
そんなこと、初めてだった


「私は本当に好きではない人と、結婚するかもしれなかった」
『・・・そうだね』


でもしょうがない
私はそう思っている
より優秀な子孫を残すこと
それはとても大切なことだから


「それはきっと
 子供にとっては辛いことだ」
『優秀な魔術師になれるのに?』
「ああ」
『時臣なら、きっと愛せるよ』
「いや、きっと無理だろう」
『なんで?』


わからない、という表情をしている私に
時臣は悲しげに微笑んだ


「私は、君が好きだからだよ」


目が点になった
時臣が私を好き?
そんなわけなかった
だって、そうじゃないって、わかってたから
だから私は時臣を諦めようって思ったのに


『・・・嘘』
「嘘じゃないよ」
『だって・・・』
「ずっと好きだった」
『そんなわけ、ないよ』


そんなわけない
だって時臣は・・・


『私のこと、そういう好きじゃないって』


禅城との婚約が決まった日
私は時臣に告白した

そのとき、時臣は言ったじゃん
私のこと、好きじゃないって


「私も、あの日
 この気持ちを諦めたはずだった」
『え?』
「唯華への気持ちを捨てて、生きていこうと
 今まで通り、魔術師として生きていこうとした」
『・・・うん』
「でも、無理だった」


知らず知らずにうちに流れていた涙を時臣が指で拭ってくれた


「好きだよ、唯華」
『う、ん』
「あの日、君を選べなかった臆病な私だけれど
 好きでいてくれるかい?」
『もち、ろんだよ
 だって私は・・・』





ずっと好きでした





嫌わない
嫌うわけないよ

だって私はどんな貴方だって
大好きなんだから



END
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ